婚約
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[編集] 法的効果
婚約は婚姻契約の予約であり、契約に伴う権利義務を発生させる。したがって、婚約した者は将来結婚 するように努力する義務を互いに負うので、正当な理由なく婚約を破棄した場合、債務不履行(民法415条)ないし不法行為(民法709条)に該当し、損害賠償責任を負う場合がある。
- 婚約解消の正当な理由の例
- 当事者同士の合意
- 婚約相手の不貞行為
- 婚約相手に重大な嘘をついていた(学歴詐称も認めた判例あり)
なお、婚約中であっても、不貞行為に及んだ場合には夫婦間における貞操義務違反に準じるものとして婚約相手に対する不法行為責任等が生じる場合がある。また、不貞行為の相手方も婚約相手の法的地位を侵害したとして不法行為責任(民法709条)を問われうる。
[編集] 日本の婚約
婚約の証として指輪を交換することが多い。婚約時に交換される指輪は婚約指輪と呼ばれ、男女とも左手の薬指につける。男性の払う着手金のような意味合いがあり、ダイヤモンドのような高価な宝石の指輪にすることが多い。俗に「男性の月給三カ月分」などと言われる。(ただし月給三カ月分という数字は宝石会社の宣伝文句なので過大である。)一方、結婚指輪は比較的安価なものが選ばれる。
婚約をしてから婚約指輪を交換するのではなく、逆に、男性が婚約指輪を贈ることで婚約を求めることがある。これを俗に「プロポーズ」という。口下手な男性だと、口頭で婚約を申し込むのを省略して、いきなり婚約指輪だけ渡す事でプロポーズをすることがある。このような場合には「愛している」とか「結婚・婚約してほしい」というような言葉はとうとう語られずじまいのことが多い。
日本の伝統的な慣習の結納は、正式な婚約に当たる。口頭の婚約と同時またはそれ以後でなされることが多い。(詳細は結納を参照。)
婚約者を許婚(いいなずけ)と呼ぶことがある。許婚という語には、結婚を(家など)当人以外のものが決定するニュアンスがある。そのせいで、個人の意思を尊重する人たちから、偏見を持たれて、嫌われることもある。しかしながらこの語自体には元来、女性蔑視の意図はない。
[編集] 世界の婚約
結婚式が宗教的になされることが多いせいで、婚約もまた宗教的な面が見られることが多い。キリスト教圏とイスラム教圏と仏教圏では、結婚や婚約の仕方は大きく異なることが多い。ただし近年では各国とも、生活の欧米化にともなって、キリスト教圏の影響が大きいようだ。
[編集] アジア・アフリカ圏
アジア・アフリカ圏では、婚約指輪を交換するという伝統的な慣習は特にない。ただし、この点は日本も同様である。近代になって、生活が欧米化するにつれて、風習もだんだん欧米化していくようだが、昔ながらの伝統的な慣習に従うことも多い。
[編集] 欧米圏
多くの欧米圏(豪州や南米を含む)では、婚約指輪を交換する。また、婚約パーティーを開くことも多い。婚約パーティーはくだけた雰囲気で行われることが大半で、ゲストからの贈り物も求められない(ただし自主的に持参する人もいる)。 ただし、これらの慣習は、国・民族ごとに差異があるので、一律で述べることはできない。