宇宙望遠鏡
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宇宙望遠鏡(うちゅうぼうえんきょう)とは、軌道上に打ち上げられた望遠鏡のこと。多額の費用と打ち上げの困難はあるが、地球大気に邪魔されず観測ができるために現代観測天文学の重要な道具となっている。
[編集] 宇宙望遠鏡のメリット
最大のメリットは、地球大気による電磁波の吸収がないことである。ガンマ線やX線、紫外線、遠赤外線などは地球大気に吸収されてしまうため、地上での観測が不可能である。よって、大気圏外に望遠鏡を設置することで大気に邪魔されず観測を行うことができる。
さらに、地球大気による像の揺らぎがないことも大きなメリットである。ハッブル宇宙望遠鏡は紫外線から近赤外線までの波長域の観測を行うが、地球大気による像の揺らぎがないことから、望遠鏡の回折限界いっぱいまで空間分解能を向上させることができる。
[編集] 宇宙望遠鏡のデメリット
最大の困難は打ち上げである。ロケットで打ち上げる以上その積載重量には制限があり、10mクラス地上望遠鏡のような大きなサイズの宇宙望遠鏡は打ち上げることができない。もちろん、打ち上げ失敗のリスクもある。さらに、いったん軌道上に送ってしまうと、一般的には改修や新検出器の取り付けをすることができない。ハッブル宇宙望遠鏡は打ち上げ後、幾度かにわたってスペースシャトルによるメンテナンスが行われていたが、これは非常に例外的な事例である。
さらに、同じサイズの地上望遠鏡に比べて費用がより高価であり、一般には運用期間も数年と短い。
[編集] いろいろな宇宙望遠鏡
- ハッブル宇宙望遠鏡
- ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(予定)
- 2011年に打ち上げが予定されている、ハッブルの2.5倍ある直径6.5mもの巨大な主鏡を持つ宇宙望遠鏡。ハッブル引退後の後継機と目されている。太陽-地球軸の延長線上にあるラグランジュ点(L2)に置かれる予定である。この宇宙望遠鏡には近赤外線カメラなどが搭載されており、約100億光年という遠距離にある天体から放射される微弱な赤外線(赤外線領域にスペクトルが偏移している)の観測に主眼が置かれている。
- スピッツァー宇宙望遠鏡
- チャンドラ (人工衛星)
- XMM-Newton
- Astro-E2
- Astro-F
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