定常状態

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一般に「定常（ていじょう）」とは、「一定して変わらない」ということを意味する。

この意味から言えば、自然界にも定常と言えるものがある。例えば小川を考えよう。小川は、上流などで雨が降らない限り、時間とともに川の流れの速度や流量が変わることはない一定な状態である。

[編集] 流体力学、気象学

流体力学及び気象学では、ある着目している流体物が時間とともに変化しない状態を定常状態（steady state）という。従って、先ほどの小川の例はこの分野では定常状態とは呼ばれない。なぜなら、小川の表面に波が立つのを見れば分かるように、小川の流れは周囲の影響を受け時間とともに変化しているからである。

自然界において厳密な定常状態の存在を確認することは難しいだろう。たとえば大気にしても、低気圧や高気圧などのように定常状態からの乱れが常に存在する。このような定常状態からの乱れを擾乱という。

[編集] 熱力学、統計力学

熱力学や統計力学では特に、巨視的な量に時間変化が全くない平衡状態と区別して、時間変化（流れ）はあるがその速度が変化しないような状態を定常状態という。これは、各点へのインプットとアウトプットとが等しくつりあっていることを意味する。古典的な熱力学・統計力学は平衡状態とそれに近い状態を扱っており、非平衡熱力学・統計力学は最も単純な状態として定常状態近似を用いている。

[編集] 化学

化学（反応速度論）でも、各物質の濃度に変化がない平衡状態と区別して、化学反応において反応中間体の生成速度と分解速度が等しい状態を定常状態という（記事 反応速度論に詳しい）。ここでもし反応と逆反応が全く同じ速度で起こっていれば変化は観測されないから、平衡状態ということになる。定常状態近似は酵素反応速度論の基本となるミカエリス・メンテン式を導くのに用いられている。