定期付終身保険
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定期付終身保険(ていきつきしゅうしんほけん)とは、終身保険契約をベースとして定期保険を特約の形で付加したものである。正式には「定期特約付終身保険」という。定期付養老保険に代わる保険として、1990年代まで保険商品の主力として販売されてきた。
[編集] 特徴
定期保険はいわゆる「掛け捨て」の保険であり、一定の保障額を得るために必要な保険料は廉価となる。一方で終身保険は貯蓄性が高い保険であり、定期保険と比べて保険料は高額である。
この保険はこの二つの保険を組み合わせることにより、終身保険部分で一生必要とする保障を準備すると同時に、特約として付加した定期保険部分で、子どもが成人するまでの一番お金が必要な期間の保障を比較的廉価に準備するという保険である。
一般的には、定期保険特約部分の終了時期を末子が大学、あるいは高校などを卒業する年齢にあわせ、卒業すると同時に保障が小さくなるように設計される。
これにより、被保険者のライフサイクルにあわせて、必要保障額が準備できる効率的な保険である。世帯主を主な被保険者として設計されている保険であるが、下記の通り主力商品であることから疾病保障などももっとも充実しているため、女性の加入も決して少なくはない。
日本では、2000年4月に明治生命が初のアカウント型保険『ライフアカウント』を発売するまで、長く各社の主力商品として発売されてきた。
設定されたのは1968年ごろで、この時は終身保険と定期保険の割合を1:1~1:4程度に定めていた(1:1の時の保険は終身に対する定期の割合から2倍型保険、1:4の時の保険は5倍型保険と呼んだ)。その後、定期保険の倍率が高まる傾向(同じ保険料ならば、定期保険の比重を増やせば保険金額が増えるため)が進み、バブル期以降には25~30倍型保険のようなものが主流となった。また定期保険の代わりに、収入保障保険や三大疾病保障保険を付けたものも現れている。
[編集] 問題点
この保険は、保険料をそれなりに低く抑え保障額を大きくするように工夫されているが、保険外交員の説明不足や加入者の知識不足からトラブル・苦情も少なくない。
よくあるトラブルとしては、
- 加入時の保険料を抑えるために、定期保険部分を10年程度毎に更新するタイプが主流であるが、更新時の保険料はその時点での年齢によることから上昇することが避けられない。このことが十分に理解されずに契約にいたる場合があり、、更新時期に、急に保険料が上がりトラブルになることがある。
- 定期保険特約についての説明・理解がしっかりとなされておらず、契約者は一生涯大きな保障が得られると思いこんでいる
などが上げられている。
加入者の中には、「定期保険」と「終身保険」の違いさえよく分かっていない人もいる。
また、トラブルが多いというイメージがついてしまった背景には、この商品が各社の主力商品であることから販売件数も多く、保険転換時の説明不足などもこの商品の問題として誤解されてしまったことも上げられる。実際には、保険転換に関する誤解や説明不足などに起因するトラブルは、他の養老保険や終身保険などでも起こるため、定期付き終身保険特有の問題であるとは言い難い。