対空砲
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対空砲(たいくうほう) (Anti aircraft gun)とは、航空機等の空中目標を撃破するための砲である。空中目標に対する兵器としては、他に、航空機、地対空ミサイル、ロケット等がある。
[編集] 歴史
航空機が戦争に使用されるようになると、当然その対応策としての対航空攻撃手段が必要とされる。当初の低速の複葉機ばかりであった時代には通常の銃砲を空に向け撃つことで撃墜を狙っていたが、飛躍的に進歩する航空機の進歩にともない、次第に対空砲として通常の砲と異なる発展を遂げた。
高高度を飛び水平爆撃する戦略爆撃機に対して必要とされたのは射高の向上と射撃速度の向上であり、これらに対しては高射砲が用いられた。低空で用いられる戦術爆撃機や戦闘爆撃機・急降下爆撃機などに対しては対空機関砲が用いられた。対空機関砲では時間あたりの発射弾数を増すために多砲身化され、それが主流となった。第二次世界大戦では、機甲部隊に随伴するための、自走対空砲が出現した。また、電子技術の発達により、VT信管など、直接弾頭が目標と接触せずとも破裂するような工夫や、レーダーで目標を発見・追尾し、命中率の向上を図る等の工夫がなされている。地対空ミサイルが一般的となった21世紀初頭においても、対空ミサイルに比べて安価・飛翔体の速度が速い等の理由で使用が続いている。
高射砲として使われた物には、その長砲身が生み出す高初速を利用して対戦車砲として運用されるものもあった。