急降下爆撃機
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急降下爆撃機(きゅうこうかばくげきき)とは、大戦間、第二次世界大戦頃に造られるようになった急降下爆撃を行える爆撃機のことである。急降下を行う際の負荷が大きいため爆撃機としては小型の機体が多く、高い機動性が求められるために戦闘機なみに頑丈な構造となっている。急降下性能の確保のため空力ブレーキ(ダイブブレーキ)を備えているものもある。
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[編集] 地上戦闘における急降下爆撃機
第二次世界大戦のドイツ空軍においては大砲に代わり、ドイツ陸軍を支援するものとして急降下爆撃機を多く利用した。戦車との混成攻撃電撃戦では、空飛ぶ大砲として、戦車隊突入のための開口部を作る重要な役目を果たした。
制空権を確保している場合には、この急降下爆撃による地上部隊・戦車隊への支援は非常に有効であった。しかしながら、制空権を確保していない場合には、速度が遅い急降下爆撃機が敵戦闘機に撃墜されるなどして、その効力を発揮することは難しかった。そのため、第二次世界大戦後半に、ドイツ軍が制空権を失い始めるとその運用は少なくなった。なお、連合軍は、地上部隊への支援には、あまり急降下爆撃機を用いず、エンジン出力が大きく爆弾の搭載能力の高い戦闘機を戦闘爆撃機(アメリカ、イギリス)や襲撃機(ソビエト)として用いた。
なお、第二次世界大戦時のドイツ空軍は、急降下爆撃に過大な信頼を抱いており、エンジンが4発の大型爆撃機にも急降下爆撃の性能を求めたために設計・製造上多くの問題が発生した。
[編集] 海上戦闘における急降下爆撃機
第二次世界大戦においては、急降下爆撃機による艦船への爆撃が、枢軸国・連合国双方で数多く行われた。雷撃機に比べ、運動性の高い急降下爆撃機は、奇襲効果・命中率の面から有利であり、艦上構造物の破壊も効果的に行えた。
また、対魚雷防御技術(戦闘艦艇は水面下に何重もの装甲や破壊を見越したバルジ)の発展や艦船の対空火力の向上により雷撃機による攻撃の効果が減少したことも相対的に急降下爆撃機の評価を高めた。(ただし、爆弾よりも魚雷のほうが艦船により大きな打撃を与えること、大型艦の撃沈のためには雷撃による水面下への打撃が必須であることから、攻撃に際しては双方の連携が必須であった。)
急降下爆撃機による最大の攻撃成功例は、ミッドウェー海戦におけるものである。アメリカ海軍の急降下爆撃機は、日本海軍の空母を攻撃し、3隻を撃破した。
[編集] 第二次世界大戦中の急降下爆撃機
[編集] アメリカ
- ダグラス SBDドーントレス
- カーチス SB2C ヘルダイバー
[編集] ドイツ
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- ドイツでは、ヘルマン・ゲーリングの極端な急降下爆撃偏重主義により、これらの他に本来水平爆撃で事足りるはずの機種であるDo 217シリーズやJu 88シリーズ、挙句の果てに大型爆撃機のHe 177にまで急降下爆撃能力を要求している。これは爆撃機開発の大きな妨げになった。これらの中型・大型爆撃機に急降下爆撃能力を付与するという試みはことごとく失敗しており、Do217の場合生産途中でエアブレーキを撤去している他、He177は結局急降下爆撃できなかった。また、Ju88は急降下爆撃が可能だったと言われているが、実際には緩やかな降下角度でもって行う“緩降下爆撃”であった。
- なお一般にJu 87の愛称として知られる「Stuka」(ドイツ語読み「シュトゥーカ」、日本語読み「スツーカ」)は本来急降下爆撃機全般を指す単語である。Stukaは略語で、略さない場合はSturz Kampffrugzeug(シュトゥルツ カンプフ・フルークツォイク)という。
[編集] イギリス
[編集] 日本
(陸軍)
(海軍)
- 愛知航空機 九九式艦上爆撃機
- 愛知航空機 艦上攻撃機「流星改」(艦上攻撃機と機種統合)
[編集] ソ連
[編集] ルーマニア
- IAR IAR-81