小選挙区比例代表併用制
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小選挙区比例代表併用制(しょうせんきょくひれいだいひょうへいようせい)とは、小選挙区制の要素を加味した比例代表制で、全議席は政党名簿に投じられた得票(政党票)に比例して政党に配分される。政党は被選挙人名簿を作成し、比例配分された議席が全国の小選挙区で当選した人に優先的に与えれる。ドイツの連邦議会で採用されている。この制度では全議席は比例代表によって民意に近い配分がされ、かつ有権者は誰を当選させるかを選ぶことが出来るという利点がある。
小選挙区比例代表並立制と違い、小選挙区で議席を得た政党は、その分だけ比例議席を失う。このため、小選挙区議席が比例議席を上回る政党が現れない限り、比例代表の性質は歪められない。ただし比例代表の一票の格差を自動調整する機能は失われる。なお、ドイツでは、小選挙区の獲得議席数が比例で獲得した議席数を上回った場合、超過分も超過議席(Überhangmandat)として認められる。このため、ドイツ連邦議会では定数より選挙での確定議席数が多くなることがほとんどである。また、ドイツでは比例代表制の欠点である小党の乱立を防ぐため、全国得票率が5%を超えない政党には比例議席を与えない(3つ以上の小選挙区で第一位の得票を得た政党には議席が配分される、また小選挙区で当選した場合は、その候補者には議席が与えられる)制度になっている。これは、完全比例代表制だったヴァイマル共和政時代に政党が乱立した結果政権が安定せず、強力な政権を主張するナチスの台頭を招いてしまったことへの反省によるものである。
ニュージーランドで導入された小選挙区比例代表連用制は、この超過議席の発生を回避し、かつ、ドイツの選挙制度に限りなく近くなるようにした制度であるとも言える。このため併用制と連用制を区別せずに分類する方法が一般的である。
選挙区候補が無所属で出馬し当選した場合は、当然比例代表の枠外での当選となる。選挙区候補者が全員無所属で出馬した場合は、事実上小選挙区比例代表並立制と同じとなる。これを防ぐためドイツでは、小選挙区比例代表並立制を採用している日本とは逆に、同一候補者が小選挙区と比例区に重複立候補する事が奨励されているかも知れない。
[編集] 参考文献
- 早川 東三ほか編: ドイツハンドブック、三省堂、1984年
- 渡辺 重範編: ドイツハンドブック、早稲田大学出版部、1997年
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