弁済
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弁済（べんさい）とは、本来的な債権の消滅原因である。債務者（又は第三者）が、債務の給付を実現することをいう。債権の消滅という視点から形容した表現であり、債権の実現という視点に着目すると履行と形容される。また、弁済（あるいは履行）の対象となる物や権利に着目して給付という表現が用いられることもある。債務不履行の場合は弁済があったといえず、債権は消滅しない（ただしその場合は解除などがあれば消滅する。） 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる（民法第492条）。
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[編集] 弁済とは
債権の目的を実現させることである。
- 債権の目的が金銭の支払いの場合は、金銭の支払い
- 債権の目的が物の引渡しの場合は、物の引渡し
- 債権の目的が劇場への出演の場合は、劇場への出演
[編集] 弁済の主体
通常は債務者がこれにあたるが、第三者も弁済することができる（第474条1項、ただし、債務の性質がこれを許さない場合や、当事者が反対の意思を表示したときは、この限りではない、474条1項但書）。ただし第三者に利害関係ない場合は、債務者の意思に反して弁済はできないとされる（第474条2項）。
[編集] 弁済の方法
- 弁済提供の方法（第493条）
- 現実の提供（原則、何が現実の提供にあたるのかは債務の性質により決定される）
- 口頭の提供（債権者があらかじめ受領を拒んだ場合、あるいは債務の履行について債権者の行為を要する場合。弁済の準備をしたことを通知してその受領を催告すること）
- 特定物の引渡し（第483条）
- 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡たしてもよい。
- 弁済の場所（第484条）
- 別段の意思表示がないときは、以下の例による。
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- 特定物の引渡し：債権発生時にその物が存在した場所
- その他：債権者の現在の住所（持参債務の原則）
[編集] 弁済後の処理
[編集] 弁済の効果とその例外
弁済の効果は債務の本旨に従い、債権者に対してなされないと発生しないのが原則だが、一定の場合には弁済の効果が生じることもある。
- 債権の準占有者に対する弁済（第478条）
- 善意支払の記事を参照。
- 受領する権限を有しない者に対する弁済（第479条）
- 債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。第478条が適用される場合には、この規定の適用は排除される。
- 受取証書の持参人に対する弁済（第480条）
- 善意支払の記事を参照。
- 代物弁済（第482条）
- 債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
また、債権者に対して債務の本旨に従った弁済がなされた場合でも、一定の場合には弁済の効果が生じず債権が存続し、または債務者がさらなる弁済を迫られるケースもある。
- 支払の差止めを受けた債権の場合（第481条）
- 差押えられた債権につき弁済があっても、差押債権者は第三債務者に対して更に弁済をすべき旨を請求できる。差押債権者の保護が目的である。
- 第三者が弁済した場合、第三者が取得する債務者に対する求償権を保全するための制度である。任意代位（第499条）と法定代位（第500条）とがある。代位の効果につき、第501条。一部弁済の場合につき、第502条。
