愛荘町立愛知川図書館
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- 愛荘町の町立図書館として、愛知川図書館と秦荘図書館がある。もともと、愛知川町立図書館および秦荘町立図書館であり、2町合併によってあらたに愛荘町立図書館となった。
- 人口2万人の町に2つの図書館があることについては、定休日をずらすことにより住み分けをしている。
- 愛知川図書館の特徴のひとつは、びんてまりの館というギャラリーが併設されていることである。旧愛知川町地域に伝承される「びん細工てまり」は、NHKのおしゃれ工房ほか、さままなメディアで取り上げられている。一時期、伝承者が絶える危機もあったが、保存会が結成され、びんてまりの館を拠点に、活動をしている。びんてまりの館には、専任の学芸員が配置されており、保存会の支援のほか、ほぼ毎月、絵本の原画展や郷土史関係の展覧会が開催されている。
- 図書館の周囲にはビオトープが設置されていることも、特徴といえる。この空間は常に開放されており、休館日でも子供たちが遊ぶ姿がみられる。ひばりが営巣したことは、京都新聞に報道された。
- 図書館そのものは、身近な図書館を目指している。エントランスは、木製タイルの床材に電球を配するなど暖色系のデザインで、ガラス張りの開放的な空間を演出している。バリアフリーで、貸し出し用車椅子も完備している。閲覧席は、個人ブースや畳の部屋、AV閲覧コーナー、子供向けのお話し室など多彩。町域に住む在日外国人のために、ポルトガル語の書籍や新聞、雑誌も用意している。貸出し時に貸与される専用の手提げには、「くらしのなかにとしょかんを」と印刷されている。
- 地域・行政コーナーでは、郷土史関係の参考図書から町域のレストランのメニュー(複製)まで揃う。担当の司書が配置され、常に郷土の情報を収集し、図書館資料として還元している。町内の各自治会の広報誌も収集されている。愛知川小学校の生徒が総合学習の時間に作った郷土史の冊子も、蔵書として貸し出しできることは、ユニークな取り組みである。千葉大学の橋本裕之教授は、調べ学習の拠点のモデルとして、『心をそだてる 子ども歳時記12か月』(講談社)に愛知川図書館を取り上げた。
- 館長の渡部幹雄氏は、大分県緒方町、長崎県森山町で図書館をつくりあげた手腕を買われ、愛知川図書館の立ち上げにかかわった。著書に『図書館を遊ぶ-エンターテイメント空間を求めて』(新評論)がある。
- 職員は9名で構成されており、そのうち司書資格者は8名である。正規職員5名(館長およびびんてまりの館学芸員を含む)、嘱託職員2名、臨時職員2名。
- 愛荘町立図書館のデータ
愛知川図書館(えちがわとしょかん) 住所:滋賀県愛知郡愛荘町市1673 定休:月・火曜(整理休館は毎月最終週の水曜日) 開館:10時~18時 床面積:3400平方メートル(びんてまりの館も含めて)
秦荘図書館(はたしょうとしょかん) 住所:滋賀県愛知郡愛荘町安孫子822 定休:木・金曜(整理休館は毎月第1週目の水曜日) 開館:10時~18時 床面積:1078平方メートル(ハーティーセンター秦荘の図書館部分)