所得税法
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通称・略称 | なし |
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法令番号 | 昭和40年法律第33号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 法律 |
主な内容 | 所得税について |
関連法令 | 法人税法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
所得税法(しょとくぜいほう;昭和40年3月31日法律第33号)とは、広義の所得に対する税のうち、個人の所得に対する税金について定めた法律。
目次 |
[編集] 日本の所得税法の歴史
日本の所得税法は1887年に導入された。導入の当初は、所得金額300円以上の高額所得者のみを納税義務者としていたことから、名誉税とも呼ばれた。税率は最大3%であり、税収に占める割合は僅かなものであった。
[編集] 納税義務者
- 居住者 -- 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。(法2条第1項三号)
- 非永住者 -- 居住者のうち、国内に永住する意思がなく、かつ、現在まで引き続いて五年以下の期間国内に住所又は居所を有する個人をいう。(法2条第1項四号)
- 非居住者 -- 居住者以外の個人をいう。(法2条第1項五号)
- 内国法人 -- 国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。(法2条第1項六号)
- 外国法人 -- 内国法人以外の法人をいう。(法2条第1項七号)
[編集] 所得の種類
日本では、居住者の所得を次の10種類に区分している。なお、以下、所得税法を「法」と表記する。
- 利子所得(法23条)
- 配当所得(法24条)
- 不動産所得(法26条)
- 事業所得(法27条)
- 給与所得(法28条)
- 退職所得(法30条)
- 山林所得(法32条)
- 譲渡所得(法33条)
- 一時所得(法34条)
- 雑所得(法35条)
これらのうち、利子所得、配当所得および不動産所得は資産性所得であり、給与所得、退職所得は勤労性所得である。事業所得および山林所得は、資産性所得と勤労性所得が結合したものといわれる。資産性所得と勤労性所得は、ともに恒常性所得に該当する。さらに、譲渡所得および一時所得は、臨時所得に該当する。そして雑所得は、他の9種の所得のいずれにも該当しない所得をいう。
[編集] 課税標準
日本の所得税法は、課税標準として、総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の3つを設けている(所得税法22条)。これは、退職所得・山林所得以外の所得については総合所得税課税を実現しつつ、退職所得及び山林所得については分離課税を実現するものである。その理由は、退職所得及び山林所得が、長期の勤労の成果が一時点に実現する性質のものであることから、これらについて累進税率を緩和するためである。
さらに租税特別措置法は、上記のほか、一定の譲渡所得を申告分離課税の対象としている(同31条以下)。その理由は、譲渡所得が経常的な所得とは異なり、その実現のタイミングを選択することが可能であることから、損益通算による租税回避に用いられ易いことにある。
[編集] 損益通算
不動産所得、事業所得、山林所得および譲渡所得の一部について損失が生じた場合には、課税標準の計算に当り、これを他の所得と通算することができる。
[編集] 源泉徴収義務者
[編集] 所得税法改正
2004年2月の国会で所得税法改正について、論議されている。
公的年金等控除で65歳以上の場合は、現行140万円の控除を120万円控除にする。
老齢者控除で65歳以上で給与や年金などの合計所得が年間1千万円以下の場合50万円の控除を全廃する。
課税所得が増えるため国民健康保険料や介護保険料の引き上げにつながる。