扉の影に誰かいる
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扉の影に誰かいる(QUELQU'UN DERRIERE LA PORTE)は、1971年8月に日本初公開されたフランス映画。松竹配給、上映時間1時間35分。
ジャック・ロベールの原作小説をニコラ・ジェスネール監督、チャールズ・ブロンソン主演で映像化。アンソニー・パーキンス共演。ジャンルは、サスペンス、ラブロマンス、ミステリー。
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[編集] スタッフ
- 脚本、監督:二コラ・ジェスネール
- 原作:ジャック・ロベール
- 撮影:ピエール・ロム
- 音楽:ジョルジュ・カルヴァランツ
[編集] キャスト
- 記憶喪失の男:チャールズ・ブロンソン
- ローレンス・ジェフリーズ:アンソニー・パーキンス
- フランシス・ジェフリーズ:ジル・アイアランド
- ポール・ダミアン:アンリ・ガルサン
[編集] 物語
精神科医のローレンスは、妻のフランシスの不倫に悩んでいた。何とかして妻との愛を取り戻そうと考えていた矢先、ローレンスの勤め先の病院に、流れ者の男が連れこまれる。男は、記憶障害を患っており、自身の過去や身の上一切を何も覚えていない。ローレンスは、一計を案じたのか男を治療という名目で、自らの自宅へ連れて行く。ジュースに精神安定剤を混入させ、男を眠らせたローレンスは、その足で外出する妻を見送ると、さっそく連れ込んだ男にローレンス自身のプロフィールを自分の記憶だ、と信じ込ませ不倫相手ポール・ダミアンという男を、なんとこの男の手のよって殺害させてしまおうという完全犯罪を目論む。やがて、ダミアン宛に電報を打たせ、自宅に出向くよう仕向けたローレンスの計画は完璧に遂行されるはずだったのだが・・・・。
[編集] 備考
主演は、当時ヨーロッパに流れていたものの、キャリアにおいては絶頂期だったブロンソン。肉体派アクションスターとして君臨していたが、この作品では苛烈なアクションを抑制し、記憶喪失に陥っている謎めいた男を熱演、演技派俳優への新境地を見せた。妻・アイアランドも出演。30代後半になっているパーキンスも渋味が増し、落ち着いた知的な個性を前面に出してブロンソンの貫禄に対抗している。初秋間近の海辺の町を舞台に、物語の殆どがローレンス医師の自宅内とその周辺で展開している、舞台劇タッチの演出が異色さをはなっている。展開が早く、台詞の応酬でドラマが進行するが、時折挿入されるドヴォルザークの「家路」をアレンジしたテーマ音楽と静かな描写の映像が、微妙な息抜きの時間を供給しており、構成としては非常に流れが良かったといえる。ただ、ミステリーの雰囲気は満点だったが、フイルムノワールとしてはあまり評価が高くはなかった。
尚、日本でも幾度かTV放映もされ、その際はブロンソンを森山周一郎、パーキンスを西沢利明がそれぞれ吹き替えており、それぞれ馴染みの声となっている。