手受け
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手受け(てうけ)とは、ワンマン運転が基本である公共交通機関において、乗務員が乗客より直接運賃を受け取ることを言う。
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[編集] 概要
通常、乗客は運賃を運賃箱に投入して乗車あるいは降車を行う。しかし、運賃箱に一旦投入された貨幣は金庫に収納され、ほとんどの場合乗務員が開けることはできない。そこで、何らかの原因によって運賃を直接投入できない場合に手受けが行われる。しかし、後述されるように不正行為の温床となる場合があり、禁止している事業者が多い。
[編集] 種類
- 釣銭を用意するために行うもの
- 釣銭不足などの理由により車内にて両替ができない場合や、乗客の過誤によって運賃を多く投入してしまった場合、後から乗ってくる乗客から運賃を受け取り、精算を行ってから運賃箱に投入する場合がある。投入される運賃の合計は変わらないため、内規で禁止されていなければ特に問題はない。
- 運賃箱の故障によるもの
- 不正行為
- 運賃箱方式は、その特性上、運賃を投入しなければ乗車があったこと自体がわからない。そこに目をつけた乗務員が、受け取った運賃を着服するという事件が過去に発生している。
- 路線バスなどでは、運賃箱と乗務員の間に透明な仕切りが設置されているケースがあるが、これは着服防止という目的がある。かなり大きい面積で、運転士が席を外れないと現金に触れることもできないようなしっかりしたものから、手を回せば簡単に現金に触れることが可能な簡易なものまである。なお、この仕切りがあったからといって、過去に当該事業者において着服事件が発生していたとは限らない。
[編集] 事件となった例
[編集] 広島電鉄車掌による運賃着服事件
2005年4月から2006年にかけ、広島電鉄の車掌6人が、受け取った運賃を運賃箱に納めずに着服していたことが発覚。車掌らは1年以上にわたり着服を続けており、同社は懲戒解雇すると共に刑事告訴、損害賠償を請求した。以降、同社では運賃は直接料金箱へ入れるよう車内掲示、アナウンスなどによる広報活動を進めている。