扶養
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扶養(ふよう)とは、独立して生計を営めないほどに生活が困窮している者がいる場合に、その者の生活をその者の親族または国家が経済的な面より支援・援助する制度のことをいう。だれが扶養の主体となるかは民法など法令等の規定により決定される。扶養の義務を負担する者のことを扶養義務者(ふようぎむしゃ)という。
目次 |
[編集] 扶養一般
私的扶養(民法による扶養)と公的扶養(生活保護法等による扶養)の二種類があり、私的扶養が困難な場合のみ公的扶養が開始されることになるのが法上の原則であるが(親族扶養優先の原則)、近年の行政実務ではこの原則を見直す動きがあり、公的扶養の比重が高まりつつある。
[編集] 民法
[編集] 定義
民法877条第1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養をする義務がある。」と定めている。直系血族とは、ある人の両親、祖父母、子、孫などである。それらの者のうち、具体的にどの者が扶養義務を履行するかは、当事者の協議または家庭裁判所が各人の資力に応じて決定する。
[編集] 各種法令
[編集] 総説
生活保護を申請する場合と精神保健福祉法で保護者を選任する場合などに、上記の民法上の扶養義務の存否が問題となり、原則としては扶養義務者が存在しないと認定された場合にのみ公的扶養が開始されることになる。
[編集] 生活保護法
生活保護の申請があると、福祉事務所は、申請者の扶養義務者に、扶養の可否を照会することとされている。照会に際して、親族への生活保護の適用を嫌気して扶養する旨の回答をしながら、実際には扶養しない者もあり、問題となることがある。
[編集] 精神保健福祉法
精神保健福祉法では、医療保護入院で、保護者が家庭裁判所から選任の審判がなされていない場合に、扶養義務者の同意により入院することがある。この場合の入院は4週間以内とされており、この期間内に保護者の選任審判ならびに保護者による入院同意手続きがとられなければ、入院が違法となる場合がある。
[編集] その他
- 法の適用に関する通則法第43条(かつての法例(第34条))
- 扶養義務の準拠法に関する法律
- 公的扶助
- 生活保護