法例
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法例(ほうれい)とは、一つの法律内においてその法律の適用関係を定める内容を有する規定のことである、また、2007年の法の適用に関する通則法の施行までは、法の適用関係に関する事項を規定する日本の法律(明治31年法律第10号等)の名称でもあった。
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[編集] 法例という用語
[編集] 中国の刑法における用法
穂積陳重によると、もともと「法例」という語は、晋において刑罰法規としての法律適用の例則という意味で用いた「法例律」(賈充が編纂した晋律20編における用法)という用語が始まりとされている(『晋書』の第30巻刑法志など)。その後は「名例律」という用語が代わって用いられるようになったため、中国の刑法においてこの用語を使うことはなくなったとされる。
[編集] 近代日本の法律用語としての用法
日本において、法例という語は、法律の名称としてだけではなく単に法律の適用関係に関する規定という意味でも使われ、特に、一つの法律内においてその法律の適用関係や適用範囲を定める内容を有する部分を「法例」という章節名の下にまとめることがある。
穂積陳重によれば、新律綱領においては、中国に習い「名例律」という用語を用いていたものの、1880年に日本で刑法(旧刑法)を制定する際、刑法の適用に関する通則をまとめた第1編第1章に「法例」という章名を付け、晋以来の用法を復活させたとされる。その後、1890年に旧民法(いわゆるボアソナード民法)の公布の際に併せて公布された、法律の適用に関する規定をまとめた法典の題名を「法例」としたことにより、本来刑法の適用に関する法規範に関する語であった法例という用語が、法律の適用一般に関する法規範に関する語となった(以下の「日本の法律の名称としての法例」の節を参照)。
例えば、商法は、その第1編第1章が商法の適用関係に関する通則をまとめており、その章名が「通則」になっているが、会社法制定前においては、「法例」という章名であった。また刑法についても、第1編第1章が刑法の適用関係に関する通則をまとめており、その章名が「通則」になっているが、1995年に条文が口語化される前は「法例」という章名であった。
もっとも、近年の法改正により「法例」という用語はなくなりつつあり、日本の法律中の「法例」という語は、少年法第40条の見出し部分(準拠法例)に残るにとどまっている。
[編集] 日本の法律の名称としての法例
通称・略称 | なし |
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法令番号 | 明治31年法律第10号 |
効力 | 旧法 |
種類 | 法令通則、国際私法 |
主な内容 | 法の適用関係 |
関連法令 | 扶養義務の準拠法に関する法律、遺言の方式の準拠法に関する法律など |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
1898年(明治31年)6月15日に天皇の裁可(直署)及び国務大臣(内閣総理大臣を含む)の副署がなされたあと、同年6月21日の官報に公布され、同年7月16日に施行された。これにより、それまでの法例(明治23年法律第97号。旧・法例)は廃止された。
法例という題名を持つこの法律は、法の適用関係に関する事項を規定することを目的とした法律である。もっとも、その内容はほとんどが準拠法の指定を目的とした国際私法に関する規定であり、日本においては、法例≒国際私法と言っても過言ではない面があった。しかし、法例中の国際私法に関する規定に関する見直しのため、法例を全部改正する法案が第164回国会に提出され成立、2006年6月21日に公布され(平成18年法律第78号)、2007年1月1日に施行されたため、法律の適用関係を定める法律は「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)となり、法例はその役割を終えることとなった。なお、法例における基本的な制度や解釈論は法の適用に関する通則法においても維持されているため、法例の条文など内容の解説については、法の適用に関する通則法を参照されたし。