拍手
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拍手(はくしゅ)は、興行等において感動を表現するため両手で叩くこと。
西洋から輸入された習慣で、日本では雅楽、能(猿楽)、狂言、歌舞伎などの観客はしなかった。明治中期以降に劇場などから一般化したものと思われる。それまでの日本には、大勢の観衆が少数の人に拍手で反応するといった習慣はなかったこともあり、西洋人が音楽会や観劇のあと「マナー」として、拍手しているのに倣ったのとおもわれる。明治の後半になると拍手の習慣もかなり定着し、1906年(明治39年)に発表された夏目漱石の小説『坊っちゃん』には、「(坊ちゃんが)教場へ出ると生徒は拍手をもってむかえた」との記述がある。
[編集] 拍手の成立要因
京都大学霊長類研究所松沢哲郎教授によれば、拍手が成立するためには、2つの条件が必要で、ひとつは手が自由に使えること、もうひとつは、手を叩くという行為に何らかの意味を持たせることが出来ることであり、この条件が揃うことで拍手が成立するという。その意味で霊長類も餌を要求するときなど相手の気を引く目的で手を叩く。人間の場合の拍手は、更に手を叩くことにより賞賛・賛意・歓迎・喚起・感激・感謝といった感情を伝えることにある。江戸時代までの日本では、観劇等で音を立てることを作法に反すると考えていた。国立民族学博物館の野村雅一教授は、世界的に産業社会が確立していない地域では拍手の習慣が未発達であるとする。ミクロネシアとかオセアニアの一部が該当するが拍手をする場面がないからにほかならない。拍手をするためには少数対多数つまり大勢の人たちの前で少数の人たちが何かをするという状況が必要である。