数の子
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数の子(かずのこ,鯑とも)とは、ニシン(鰊)の卵で、「かどの子」の訛り。近世までニシンを「かど(カドイワシ)」と呼んでいたことの名残である。メスの腹から取り出した卵の塊を天日干し又は塩漬けしたものを食用とする。ニシンの卵一粒一粒は細かいが、無数の卵が相互に粘着して全体としては長さ10cm、幅2cm前後の細長い塊となっている。色は黄金色をしていることから「黄色いダイヤ」と呼ばれることもある。イクラ、タラコといった他の魚卵の塊と比較すると硬いことから、味のほか歯ごたえや咀嚼時のプチプチという音も楽しめる。
なお、ニシンが昆布に卵を産みつけたものを子持昆布と呼び、珍味としてそのまま食べたり、寿司ダネとして利用される。
日本では、正月のおせち料理や結納において、数の子の粒の多さが子孫繁栄を連想させることから、縁起物として用いられることが多い。日本の市場で流通しているものは、塩数の子と味付け数の子に分類され、一般には前者の方が高級なものとして取扱われている。
塩数の子は、通常そのままで食べるのではなく、真水につけて塩抜きをしてから食用とする。
食通で知られる北大路魯山人は、数の子は塩漬けや生よりも一旦干した物を水でもどしたものが美味い、数の子に他の味を染込ませてはいけないと書き記している。また、数の子は音で食べるものとも言っている。
日本の明治から大正を経て及び昭和の初期ごろまでは北海道を中心として、ニシン漁が盛んであり、その様子は『ソーラン節』にも謡われ、漁師の中には鰊御殿と呼ばれる大邸宅を持つものもあった。したがって日本産の数の子の入手も比較的容易であった。しかし、乱獲もしくは気候変動による海流の変化により1955年(昭和30年)ごろを境にしてニシンの水揚げが激減し、日本産の数の子は貴重品となり、これに対して輸入品が台頭することとなった。なお、1980年(昭和55年)には、数の子の買占めが原因で倒産した水産会社がでる騒動もあった。 1996年(平成8年)以降、日本においてもニシンの水揚げに回復の兆しがみられ、若干量ではあるが国内産の数の子も再び見られるようになっている。なお、国内におけるニシン加工業のほとんどを北海道留萌市で占め、同市の特産品にもなっている。
日本国外では、カナダ、アメリカ合衆国アラスカ州、イギリスのスコットランド、ロシアなどで水揚げされるニシンから数の子が作られ、日本もこれらの地域産のものを輸入している。
これらの地域のうち、アラスカなどの北米大陸西海岸側のものは主に塩数の子として、カナダのニューファンドランド島などの北米大陸東海岸側のものは主に味付け数の子として、またヨーロッパ産のものは塩数の子、味付け数の子双方として、それぞれ加工されることが多いとされる。
コレステロールが上昇するので、大量の摂取は控えたほうが良い。