新日本文庫
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新日本文庫(しんにほん ぶんこ)は、新日本出版社が刊行していた文庫判叢書である。
1974年に刊行を開始した。全体で150点あまりを刊行したが、1990年代から新刊はなく、2007年現在は宮本顕治・宮本百合子の往復書簡『十二年の手紙』などの在庫品のみの販売となっている。
文学分野では小林多喜二や宮本百合子を中心としたプロレタリア文学や戦後の民主主義文学の作品、社会科学分野では日本共産党の党史や文献、宮本顕治の戦時中の公判記録など、マルクスやエンゲルスの著作、自然科学では原子力と核問題についてのものが刊行されていた。
注目すべきものとして、広津和郎の戦前の作品『風雨強かるべし』、峠三吉の詩集、日本共産党の論文としては、公明党とのあいだでかわされた憲法論争の文献、ソ連や中国の共産党と対立した1960年代の文献、全千島返還を主張した領土問題の文献がある。