日本語対応手話
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日本語対応手話(にほんごたいおうしゅわ)とは、日本語の文法や語順に手話単語を当てはめた手話の一種である。対応手話、シムコム(simu-com, simultaneous communication)、手指日本語、同時法とも呼ばれる。主に日本の難聴者や中途失聴者に使用される。聴者が使っている手話は、日本語対応であることが多かった。近年では、日本手話(JSL)を教えると明記した手話教室も増えている。
[編集] 言語学的な観点
言語学的にいえばピジン言語の一種であり、聾者が使っているクレオール言語である日本手話とは区別される。
日本語対応手話は基本文法が日本語の為、日本語文法どおりそのまま手話単語に表すような感じになる。そして、日本手話独特の文法(顔の部位等を使う非手指動作)はほとんど使用しない。このように、言語学的な観点から見ると両者は異なる。日本語文法が身に付いている人達にとっては、日本語対応手話は日本手話よりも覚えやすい。然し、日本語対応手話はピジン言語の為、クレオール言語である日本手話と比べると滑らかに意思疎通できない事が有る。この違いは主に非手指動作の有無が影響している。
日本手話使用者にとって日本語対応手話は使いにくい手話の為、日本手話使用者の中には日本語対応手話を「シムコム」「手指日本語」等と呼んで(手話では無いと謂う含意がある)蔑視する見方が有る。
[編集] その他
アメリカでは、アメリカ手話 (ASL) の表現を借りて、英語の語順と同じにした手話 en:Pidgin Signed English (PSE) が有る。(PSE は日本で言えば日本語対応手話と為る)