楊松
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楊松(ようしょう、生没年不詳)は三国志演義に登場する架空の人物で、楊柏の兄という設定。漢中の領主張魯配下の佞臣で、金に汚い男であったとされる。
[編集] 馬超を売る
211年頃、益州を支配する劉璋が劉備に攻められたため、反目していたはずの張魯に援軍を申し入れる。このとき曹操に敗れて落ち延びてきた馬超がこの役を引き受け、劉備の軍勢とぶつかり合った。
馬超と対峙することは得でないと見た劉備陣営は、馬超と張魯の関係を破綻させるべく楊松に賄賂を贈り、張魯に讒言するように申し入れる。快諾した楊松は「馬超は蜀の地を我が物にするつもりだ」と張魯に吹聴し、馬超を退くことも進むことも出来ない状態に追い込んだ。行くあてを失った馬超は李恢に説得され、劉備に降ることになる。この折、監視役に付けられていた楊松の弟楊柏が手土産として斬られている。
[編集] 主君を売る
215年、曹操の張魯征伐の折、難攻不落の陽平関攻めに決め手を欠いた曹操陣営は、楊松に対して賄賂と共に内応の申し入れを行った。財宝と爵位に目が眩んだ楊松は、進んで曹操軍を引き入れた。これにより、曹操は張魯の支配する漢中の制圧に成功した。
張魯の降伏したときの対応から、張魯およびその配下は曹操に厚遇を受けることとなった。しかし、楊松だけは「主君を売った罪」を問われ、処刑されてしまった。