権現
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権現(ごんげん)は日本の神の神号の一つ。日本の神々は仏教の仏が形を変えて姿を現したものであるという本地垂迹説の考え方に基づいた神号である。
「権」という文字は「権大納言」などと同じく「臨時の」「仮の」という意味で、仏が「仮に」神の形を取って「現れた」ことを文字で示している。
権現は神号であるが、多くの場合、具体的な神社の祭神に対して用いられ、神社との関係を切り離した状態での神には用いられない。例えば、「天児屋根命」は、天児屋根命を祀る神社である春日神社(春日大社)の祭神であるから、「春日権現」と呼ばれるが、「天児屋根権現」という言い方は存在しない。また同じ神を祀る神社であっても、神社によってそれぞれ独自の神号をもっている場合があることにも神社主体の捕らえ方は現れている。「春日権現」のように「~権現」となるのは、神社名を用いることが多く、また「日光権現」(栃木の日光にある二荒山神社の祭神)のように神社がある場所の地名を用いることも多い(神社名自体が地名によることも多い)。神社名や地名を用いる以外では、その神社の祭神の数で「六所権現」などと呼ぶこともある(この場合は複数の神をひとまとまりの神としてみている。)。組み合わせて、「日光三所権現」のように用いられることもある。例外としては、「蔵王権現」のように本地仏(「蔵王菩薩」)の名前がそのまま垂迹神の名前として用いられているものがある。これらのことは明神号にも多くが当てはまる。
明治初期の神仏分離政策において、本地垂迹説を否定するために権現号の使用が一時禁止されたが、のちに取り消された。
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