気温減率
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気温減率(きおんげんりつ)とは、高度が上がるに従って大気の気温が下がっていく時の割合をいう。
空気の塊が上昇することを考えると、その空気の塊が外部との熱のやり取りがない場合(断熱変化という)、周りの気圧が下がるのに伴って空気塊は膨張し、その膨張にかかる仕事のエネルギー消費の分は内部エネルギーを使用するため空気塊の温度が下がる。熱力学でいうと外部から与えられる熱量変化量を⊿Q、仕事量を⊿W、内部エネルギー変化量を⊿uとすると⊿Q=⊿W+⊿uと表現できる。断熱変化の場合⊿Q=0なので⊿W+⊿u=0、すなわち膨張によって仕事をした分の⊿Wは内部エネルギーの⊿uで補われる。
乾燥空気の場合にはこの割合が1km上昇するごとに10度下がる。これを「乾燥断熱減率」という。また水蒸気が飽和状態になると水蒸気が凝結し、放出される凝結熱によって空気塊が暖められるので気温が下がる割合は1km上昇するごとに5度ほどでこれを「湿潤断熱減率」という。これらを平均して標準的な大気を考えた場合、断熱減率は1km上昇ごとに6.5度となる。