波動測定器
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波動測定器(はどうそくていき、英:Vibration Detector)は、疑似科学を利用した、主に代替療法で使われる機器のことである。
波動 (オカルト)を測定し、物質、感情、霊的存在など森羅万象あらゆるものが持つ固有の「波動値」とその強度を測定できると主張する。それにより、病気の診断、波動を打ち消すことによる治療が可能であると主張する。 波動測定器の元祖はラジオニクス装置であるが、ラジオニクス装置がアメリカFDAが人体への使用を禁止している点、評判が必ずしもよくないことから、「ラジオニクスではない波動測定器」という主張が、近年は多い。 装置は次々に新しいタイプが作られ、多くのダイヤルとパソコン上の複雑なソフトウェアで構成されているが、単位すらない。 主たる使用方法は、精神的肉体的に問題をもっている人の問題の「波動値」を測定する。その波動を強めたり、打ち消したりする「波動」を装置にセットする。波動エネルギーを水に写すことで「エネルギー水」を作る。エネルギー水を服用、散布することで問題が解決する。このあたりはホメオパシーの技法をまねているようだ。
波動 (オカルト)にもあるとおり、波動というが、なにを測定しているのかわからないのが最大の難点である。波動測定器を販売、利用する人々によりサトルエネルギー学会といったものも開催されているが、そこでも主要な機器を分解、検査を行った結果、「操作している人間の皮膚抵抗や、筋肉の反応値を測定しているだけである」という見解が出されている。にもかかわらず、波動 (オカルト)を利用した技術だと主張しているのが現状である。
波動測定器を購入する人々はほとんどが代替医療の従事者であり、あまり医療知識がいらないことと、操作の手軽さ、無害さから使用することが多い。物理学の基本的な知識に欠けるため、販売業者の主張する荒唐無稽な波動 (オカルト)の説明を信じている人が非常に多い。もともと、経絡、気といった科学的には存在が証明されていないものを扱うことが多いため、仕方ないともいえる。 適用範囲は人体の愁訴、味覚、視力やペットの病といった結果が主観で大きく変わるものに限られる。厳密な比較実験がなされることはない。プラシーボを超えた効果があるかは不明である。 波動の考え方、機器の使用のされ方から見てみると、科学的スタイルを取り入れた呪術の一種とみなすのが妥当であろう。