消雪パイプ
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消雪パイプ(しょうせつ-)は、道路に埋め込んだノズルから地下水を噴射する除雪・融雪装置である。
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[編集] 概要
この装置は柿の種で知られる新潟県長岡市の浪花屋製菓の創業者今井與三郎が、周囲には雪が積もっているにも関わらず、地下水の滲みだしている箇所にだけ雪がないことに目をつけ考案したとされる。
「消雪パイプ」の名称は新潟県内ではよく用いられるが北陸地方などでは「融雪装置」といった場合この消雪パイプを指す場合が多い。
発祥の地である長岡市をはじめ、長野県北部、北陸から東北の平野部で雪の多く降る比較的気温の高い地域でよく見られるが、北海道や山間部など気温の低い地域では消雪のための水自体が凍ってしまうため、雪を水で融かすのではなく路面を暖めることによって融かすロードヒーティングが多く用いられる。
[編集] 弊害
しかし、この消雪パイプは多くの弊害も生み出した。最も顕著なものが地下水の汲み上げ過ぎによる地盤沈下であり、一部の地域では深刻な問題となっている。
その他にも、現在設置されている消雪パイプの多くが初期に開発された噴水状に水を撒くもののため雪の融ける箇所にムラが出来、融けきれずに残った雪と水が混合しシャーベット状の雪となり歩行者の交通に支障をきたすほか、気温が下がって路面凍結が発生した場合に雪だけが凍ったものに比べ滑りやすくなってしまう。
水はけの悪い箇所では、撒いた水が溜まって道路が冠水したり、歩行者へ撥ね水がかかってしまうこともある。
[編集] 装置のバリエーション
- 初期に開発されたもので、道路の中央線付近に一定の間隔で設置し噴水状に水を撒く。このタイプが設置されている道路は断面で見た場合に中央付近が最も高くなっており、両端が最も低くなっていて撒いた水が道路の両端に流れるようになっている。
- 比較的最近開発されたもので、道路の両端に一定の間隔で設置されている。上記のもののように高く水を撒くのではなく横に水が湧き出るようになっている。このタイプが設置されている道路は両端が高くなっており中央付近が最も低くなっている。中央付近に排水溝が設置されそこに水が流れ込むようになっている。この排水溝には落下防止のふたが設置されている。