渦電流
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渦電流(うずでんりゅう)とは、金属板(アルミニウムなど)を強い磁界内で動かしたり、金属板の近傍の磁界を急激に変化させた際に、電磁誘導効果により金属内で生じる渦状の電流のことである。
これを利用しているものとしては、周囲の磁界の変化を打ち消す磁界(レンツの法則)が生じるように渦電流が流れる結果、物体の運動を抑える力を生じる事を利用した渦電流ブレーキや、高周波の磁力線によって物体内に渦電流を発生させ、この電流によるジュール熱を利用するIHヒーターなどがある。
また、電動機や発電機、変圧器の鉄心において渦電流が発生した場合、鉄心の電気抵抗による発熱が原因でエネルギーの損失が生ずることを渦電流損と呼ぶ。これを防ぐため、鉄心には表面を絶縁処理した薄いケイ素鋼板などを重ね合わせたものが用いられている。テープレコーダーの磁気ヘッドも同様に、フェライトではなく金属を用いる場合は積層型を用いて高域特性の劣化を防いだ。