無塩素漂白パルプ
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無塩素漂白パルプ(むえんそひょうはくパルプ)は、塩素を用いずに漂白したパルプ。エコパルプとも呼ばれる。パルプは紙の原料であり白色度の高い紙を製造する際に漂白が必要になり、漂白の工程で塩素を漂白剤として用いないことにより、完成した紙に塩素を殆ど含まない。そのため焼却した際にダイオキシン類などの有害な塩素化合物の発生が抑えられる。
無塩素漂白パルプは大きく分けて、ECF (Elemental Chlorine Free) とTCF (Total Chlorine Free) の二つに分類される。ECFは漂白に塩素そのものは使わないが二酸化塩素など塩素元素を含む漂白剤は使用するものであり、完成した紙には微量の塩素化合物が残る。TCFはパルプ漂白に塩素や塩素元素の入った漂白剤を一切使用しないものであり、完成した紙には塩素化合物を含まない。TCFは塩素系の漂白剤の代わりに、酸素やオゾン、過酸化水素などを含む漂白剤を使用する。
従来製法の塩素による漂白を行ったパルプに比べ、ややコストが掛かるが排水処理の負荷が軽減されるなど従来の塩素漂白と殆ど変わらないようなコストになって来ている。ECFは経済合理性からグローバルスタンダードとされ、塩素化合物の含有率を低めたパルプとして世界的に多く生産されている。TCFはECFよりも製造コストが掛かるが、塩素化合物を含まないという利点から高級紙としての特殊な利用が多い。
また、無塩素漂白パルプは塩素を用いないことからパルプ繊維を過度に傷めないため、塩素漂白法のパルプと比較して強靭なパルプを作ることが可能になり、リサイクルに適したパルプとも言える。
[編集] 漂白と未漂白
漂白してないパルプは、クラフトパルプ(KP)と言い茶色をした強度の強い特徴から、穀物袋やセメント袋などに使われ未晒クラフトとも呼ばれる。漂白したパルプは晒クラフトパルプ(BKP)と呼ばれ、無塩素漂白パルプも漂白方法の違いで区別されているがBKPである。
またパルプ製造過程で繊維を取り出した後に残る液体を濃縮したものを黒液と呼び、石化燃料の代替エネルギーとして注目を集めている。