酸素
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一般特性 | |||||||||||||||||||||||||
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名称, 記号, 番号 | 酸素, O, 8 | ||||||||||||||||||||||||
分類 | 非金属 | ||||||||||||||||||||||||
族, 周期, ブロック | 16 (VIB), 2 , p | ||||||||||||||||||||||||
密度, 硬度 | 1.429 kg·m−3, no data | ||||||||||||||||||||||||
単体の色 | 無色![]() 青(液体酸素、オゾン) ![]() |
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原子特性 | |||||||||||||||||||||||||
原子量 | 15.9994 amu | ||||||||||||||||||||||||
原子半径(計算値) | 60 (48) pm | ||||||||||||||||||||||||
共有結合半径 | 73 pm | ||||||||||||||||||||||||
VDW半径 | 152 pm | ||||||||||||||||||||||||
電子配置 | [He]2s22p4 | ||||||||||||||||||||||||
電子殻 | 2, 6 | ||||||||||||||||||||||||
酸化数(酸化物) | −2, −1(中性酸化物) | ||||||||||||||||||||||||
結晶構造 | 六方晶系 | ||||||||||||||||||||||||
物理特性 | |||||||||||||||||||||||||
融点 | 50.35 K (−218.79 ℃, -361.82 °F) |
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沸点 | 90.18 K (−182.95 ℃, -297.31 °F) |
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モル体積 | 17.36 × 10−3 m3·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
気化熱 | 3.4099 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
融解熱 | 0.22259 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
蒸気圧 | no data | ||||||||||||||||||||||||
音の伝わる速さ | 317.5 m·s−1(293 K) | ||||||||||||||||||||||||
その他 | |||||||||||||||||||||||||
クラーク数 | 49.5 % | ||||||||||||||||||||||||
電気陰性度 | 3.44(ポーリング) | ||||||||||||||||||||||||
比熱容量 | 920 J·kg−1·K−1 | ||||||||||||||||||||||||
導電率 | no data | ||||||||||||||||||||||||
熱伝導率 | 0.02674 W·m−1·K−1 | ||||||||||||||||||||||||
イオン化エネルギー | 第1: 1313.9 kJ·mol−1 | ||||||||||||||||||||||||
第2: 3388.3 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
第3: 5300.5 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
第4: 7469.2 kJ·mol−1 | |||||||||||||||||||||||||
(比較的)安定同位体 | |||||||||||||||||||||||||
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注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
酸素(さんそ、oxygen)は、原子番号8の元素。元素記号はO。中国語では氧(よう)や氧気(ようき)という。
単体では酸素分子 (O2) あるいはオゾン (O3) として存在する。単に酸素と表記するとこの酸素分子や、酸素分子で構成された酸素ガスを示すことも多い。地球上では海・大気・地殻のどこにでも多量に存在し、また宇宙でも広く分布している。
目次 |
[編集] 歴史
酸素は、スウェーデンの薬剤師、カール・ウィルヘルム・シェーレによって1771年に発見された。しかしこの発見は、その場で気づいたものではなく、その後1774年にジョゼフ・プリーストリーがそれとは独立して発見した後に広く知られるようになった。
酸素の名称(英: Oxygen)はギリシャ語の oxys (酸)と gennan (生む)に由来するもので、これは酸素が酸の元であるとの誤解によるものである(HClなど酸素を含まない酸も多数存在する。一般に、水溶液中での本当の酸の元は水素イオンである)。酸素の命名は1774年、アントワーヌ・ラヴォアジエによるものである。
[編集] 特徴
酸素は、フッ素に次いで2番目に電気陰性度が大きい元素であり、希ガスを除くほとんどの元素と化合物をつくる。3種類の安定同位体と10種の放射性同位体(いずれも半減期3分未満)が知られている。
酸素は、地球の地殻に最も多く含まれている(約46.7%)元素であり、多くは岩石中に酸化物・ケイ酸塩・炭酸塩などの形で存在する。
地球外でも酸素は存在している。氷は地球以外の惑星や、彗星、小惑星などにもみられる。火星の極にある氷は二酸化炭素が凍ったもの、すなわちドライアイスである。酸素の起源は恒星核におけるヘリウムの核融合であり、酸素のスペクトルが含まれる恒星も存在している。超新星爆発の際に大量に放出されることから、酸素とその化合物は宇宙に広く存在するとの説もある。
[編集] 酸素分子
酸素分子(さんそぶんし、dioxygen、化学式: O2)は、常温常圧では無色無臭で助燃性をもつ気体として存在する。沸点−183℃、融点−218.9℃。液体酸素はライトブルーの色を示す。不対電子を持つため常磁性体である。空気の主要な構成要素(窒素に次いて2番目に多い。約21%)。
[編集] 特徴
熱力学的に不安定ではあるが、地球上では嫌気性菌や植物の光合成によって生成されるため多量に存在する。動物の呼吸によって消費される。実際、生命が発生する以前の原始大気では酸素分子は存在せず、二酸化炭素など他の原子と結合した状態であり、現在の大気中の酸素分子はすべて光合成由来であると考えられている。
酸素は、呼吸をする生物によっては必須であるが、同時に有害でもある。呼吸の過程や光反応などで生じる活性酸素は、DNAなどの生体構成分子を酸化して変性させる。純酸素の長時間吸引は生体にとって有害である。未熟児網膜症の原因になったり、60%以上の高濃度酸素を12時間以上吸引すると、肺の充血がみられ、最悪の場合、失明や死亡する危険性がある。
酸素分子は、液体空気を放置すると、沸点の低い窒素が先に蒸発するため酸素が濃縮される。液体酸素は通常、液体空気を蒸留して得られ、強い酸化剤である。1リットルの液化酸素が気化すると約800リットルの酸素ガスになる。
酸素は紫外線や火花などによってオゾン (O3) へと変換される。
[編集] 用途
反応性が高く、また支燃性をもつため取扱いには注意を要する。 具体的にはレギュレーターなどはオイルフリーのものを使用する。 配管など酸素が流れる部分への油脂類付着は厳禁。 容器充填された酸素を使用する際はバルブを急激に開けない。 圧縮空気の代わりとして純酸素を使用してはならない。
なお酸素が圧縮充填されているボンベは内部圧力が14.7MPaあり容器の色は黒と 定められている(特に高純度品は表面積の1/2を超えない範囲で水色も加えられる)
液体充填されている容器は断熱構造をしており圧力は1MPa以下(おおよそ700KPa)程度であり色は地金(ステンレスやアルミ合金の場合)か灰色に黒の帯を配したものである
- 酸化剤:化学工業などでは最も安価な酸化剤として多用される。
- 吸入用:呼吸に不可欠な元素であるため、医療分野での酸素吸入などにも使われている。飛行機や高山に登るときにも酸素ボンベや、酸素放出装置が使われている。テクニカルダイビングにおいて、減圧用ガスとして用いられる。
- 助燃剤:ガス溶接や鉄鋼の製造工程で助燃剤として使用されている。アセチレンを酸素とともに吹き出してえられる酸素アセチレン炎は3000–4000℃もの高温が得られ、鉄材の溶接や切断に利用されている。特に液体酸素はロケットエンジンの推進剤の酸化剤として用いられている。
酸素ガスの2004年度日本国内生産量は、10,422,238キロ立方メートル、工業消費量は4,093,787キロ立方メートル、液化酸素の2004年度日本国内生産量は855,476キロ立方メートル、工業消費量は68,215キロ立方メートルである[1]。
[編集] 酸素化合物
酸素は、電気陰性度が高く、ほとんどあらゆる元素と化学結合をする。2重酸素 (O2)2 は液体酸素の中で見つかった珍しい形態の酸素分子である。エポキシドは酸素原子を一つ含む三員環である。エポキシドの代表といえるエチレンオキシドやプロピレンオキシドはグリコールなどの原料として莫大な需要がある。近年では高温超伝導材料として銅酸化物が盛んに研究されている。 ここでは代表的な酸素の化合物を挙げる。
[編集] 無機化合物
詳しくはCategory:酸素の化合物、Category:酸化物を参照。
[編集] 有機化合物
[編集] 用途
高次のオキソ酸のうち
などが強力な酸化作用を持ち、酸化剤として重要である。