獣王
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獣王(じゅうおう)は、2000年にサミーから発売されたパチスロ機。
「サバンナチャンス」と呼ばれるアシストタイム(AT)機能を搭載し、本来通常ゲーム中は減っていくメダルを、サブ基盤を利用することによって小役をナビゲートし、獲得枚数を大幅にアップさせる事を実現した。
それまではビッグボーナス後の擬似連チャンを演出する役割でしかなかったAT機能を通常ゲーム中に抽選する仕様とし、さらに、かなり高い連チャン性を持たせることによって最低設定でも大爆発の期待が持てるようになった。また、アラジンなどに代表される「シングル役の集中」はビッグボーナス成立でも終了してしまうため不発となることも少なくなかったが、サバンナチャンスではその欠点が解消され、一切パンク要因は存在せず残り回数は全て取りきれる。爆発力もさることながら、この一点が「今までのパチスロそのものを覆す革命的発明」と評価され、初代アラジン以降、規定変更により爆発力が薄められた「集中役」に変わる新たなる大役は、以降のパチスロ史上に名を残す事はもちろん、他社も追随することで「出玉の量をスペック比較の対象とする観点→いわゆる万枚至上主義」の幕が本格的に開くこととなる。
導入当初は、システムの難解さという理由もあり、市場の反応は良いものでは無かった。しかしながら驚異的な爆発力がプレイヤーやホール関係者の注目を集め、攻略誌等に大きく取り上げられた事で、一気に設置台数を伸ばすこととなった。
サバンナチャンス中のBGMは、プロ野球横浜ベイスターズの応援でチャンステーマとして使用されている。
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[編集] 仕様
- A-400タイプ。スーパーAT「サバンナチャンス(通称サバチャン・略称SC)」を搭載。
- 設定変更後、ビッグボーナス終了後は一定間サバンナチャンスの抽選確率が上昇する(高確率状態)。
- 高確率状態中は特定役当選時の抽選により通常確率へ転落する。デモフラッシュでの判別が可能であった。
- 設定6の機械割(出玉率)は5以下に比べても突出して高い。主な理由としてサバンナチャンスに当選する可能性が他の設定に比して異様に高いためである。ただし、一度の当選で長大な継続回数を引き当てることは他の設定と違い難しくなっている。
- サバンナチャンスは連チャン性が高く、サバンナチャンス中にAT当選を獲得した場合、そのAT回数は上乗せされるため、一連の当選で30連、40連といったことも可能である。
[編集] サバンナチャンスの構造
- 「ライオン/象/ダチョウ」・「赤/青」・「赤/青」がメイン小役。
- 頻繁に成立するメイン小役としての15枚役が従来の同一絵柄では無く、左3通り×中2通り×右2通りの12通りの組合せとし、すべてを個別に抽選することにより、組み合わせを完全に的中させないと払い出しが得られない様に設計した。プレイヤーは通常時においては、成立した15枚役を完全奪取することは出来ない(すべてのパターンをフォローできる停止位置が存在しない)。サバンナチャンス中は成立した15枚役の組合せをプレイヤーに告知し、完全に奪取させることにより、短時間で大量の出玉を獲得できるようにしたのである。
- ゲームは全部で10あるいは30であり(1ゲーム増加することもある)、30の場合は10ゲームを終了した時点でプレイヤーに実は30ゲームであった旨を告知し、ATを続行する。
- いずれかのボーナスに当選した時点で、ATは中断する。ただし、当該当選ボーナスを終了した次のゲームより、引き続きATを続行する。
- 突入契機を多く作り、連チャン数の設定幅を1から30回と幅広くした。但し特定条件下の当選以外では、大幅な出玉の見込みは少ない。
- 抽選契機の中には、「ハズレを引く」という概念が設定されている。15枚役を個別に抽選することにより、結果として15枚役の当選は通常時でも本来の15枚役当選の12倍を占めることになる。結果として、本当に何も当たっていない「ハズレ」の確率が大幅に低くなっており、この情報をサブ基盤に送信することによって抽選契機としたことが革命的であったとされる。以後登場する自社他社AT機においてもこの概念は利用されることとなり、また攻略雑誌などにおいて、「選択ミスによる払い出しがない状態(いわゆる「取りこぼし」)」との混同を防ぐ意味で、「純粋に何も当選していないハズレ状態」を略して「純ハズレ」と呼ぶようになったきっかけを生み出したマシンとも言えよう。
- ハマリ救済措置として「天井サバチャン」が存在する。ノーボーナスで1136ゲーム間ハマリ以降のチェリーフラグ(1/64)成立後、1/10のサバチャンフラグ当選を経て発動する(平均1210P)。救済措置なので連チャン性は低い。
後にパネルや筐体を金色に施した「ゴールド獣王」や、3D表示する液晶搭載機「猛獣王S」も発売。
[編集] コピー打法事件
- 詳細はコピー打法を参照
2001年ごろ、フラグをコピー出来るバグが全サミー機にあることが発覚した。そのため、獣王も一時閉鎖になった。現在は対策済みである。
[編集] 獣王前後におけるサミーの評価
パチスロ業界において、獣王発売以前のサミーは、当時の最大手であるアルゼグループや山佐などに押され、いまいちぱっとしないメーカーだったものの、この機種のヒットをきっかけに、パチスロ業界の最大手といえるレベルにまで成長しており、サミーにとってもエポックメイキングな機種であったと言えよう。
現在ではパチスロが主力となっていることから、ヒット機種が出ることによるポジティブな材料や、コピー打法事件などのネガティブな材料が発生すると、株式市場が敏感に反応することも多くなっている。
[編集] 関連項目
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