白物家電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
白物家電(しろものかでん)とは一般の生活に深く関係した家電製品の一般名称である。生活家電(せいかつかでん)や家事家電(かじかでん)、ホームアプライアンスともいわれる。
目次 |
[編集] 概要
白物家電は主に、家庭内の家事の労力を減らしたり、あるいは生活に欠かせない家電製品のことである。日本では高度経済成長期より急速に普及が進み、ほぼ全ての一般家庭で普遍的に見られるものと成っている。
これに分類される家電製品は、炊飯器・冷蔵庫・洗濯機といった炊事に利用される台所用家電製品を始めとして、1980年代よりは電子レンジやエア・コンディショナーといった家電製品を含むようになっている。名前の由来は機械の色が白かったことからだといわれる。この色は清潔感が演出しやすかったからとも言われているが、近年では必ずしも白い色をしているとは限らない。
生活家電という場合には、更に掃除機や照明器具、空調・冷暖房機器、健康・美容器具を含み、これらは電力で動いているため、停電のようなトラブルが起こった際には、途端に生活の質が低下する要因とも言えよう。
商品的には、開発競争が到達点に達して成熟期を迎えた機器が多いことから、日本国内でも海外からOEM生産で調達している電機メーカーは多い。これらは家電量販店でも常に一定の需要が見られ、安価な物から高価な製品まで、さまざまな商品が並んでいる。電器店でも定番の商品として店頭に並んでいる。
[編集] 普及と成熟
日本では高度経済成長期に三種の神器とまでいわれたため、大衆層の購買意欲を煽っていたこれら白物家電の多くは、すでに各家庭の生活に根差した物となっているため、市場はほぼ飽和状態にある。欧米では、これら製品は第二次世界大戦前後に普及していった。
その単純な構造から古くは修理され、また壊れにくいために再利用の市場もみられたが、日本では1990年代頃より修理にかかる人件費高騰と、海外生産拠点による低価格製品の普及により、「壊れたら買い換える」という様式が一般化している。
製品の成熟では、消費者に機能面での目新しさをアピールできない事から、多機能化による差別化を図るメーカーもあったが、近年ではエコロジーブームの高まりによって、低消費電力や廃棄時の低環境負荷を謳った製品も見られるようになってきている。特に冷蔵庫はフロンによるオゾン層の破壊が社会問題として一般に知られるようになると、フロン以外の冷媒を使った製品に注目が集まるようになってきている。
日本では市場の円熟期を迎えた白物家電であるが、アジア諸国では依然として普及途上にある国もあり、日本の炊飯器などは日本に出稼ぎに来ている外国人労働者にも人気がある。ただこれら日本製炊飯器はジャポニカ米を炊くために設計されているため、インディカ米を消費する地域では、やや不評も見られる。これらでは現地生産の、日本では珍しくすらなった電気タイマー式炊飯器(マイコンを使っていない)のような単純な機種が出回っている。
[編集] その他
これら家電製品は、現代日本人の生活に欠かせない物となっている。その一方で生活の余暇が増大し、またあるいは生活の上で娯楽が求められるようになり、家事に使用するものではなく、娯楽に供する家電も多く普及している。これらは娯楽家電と呼ばれる。多様化して娯楽家電と称される以前は、サンスイを代表としてオーディオアンプに黒基調が多かったことから黒物家電(くろものかでん)と呼ばれ、白物家電の対語として用いられた。
これには1980年代以降に急速に家庭に入ってきた家庭用ゲーム機が含まれる。1990年代には大画面テレビやビデオデッキが、2000年よりはDVDプレーヤーも普及するようになっており、家庭内の電気製品の白物家電が占める率は数も購入に充てられる金額も急速に下がってきている。加えて娯楽家電にはパーソナルコンピュータのような情報機器でも、家庭内に普及した物(情報家電とも)を含む場合もあるため、更に白物家電は消費活動の中ではあまり重要視されない傾向が見られる。