照明
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照明(しょうめい)は、各種光源を利用して、何らかの目的をもって特定の場所を明るくする行為や機能のこと。主に、夜間や暗所での視環境を良くするために用いられる様々な光源に適した器具で照明の効果をあげる事が多い。舞台や映画撮影、写真撮影ではライティングと呼ばれることが多い。そのために、照明をデザインする職業を照明デザイナーまたはライティングデザイナーと呼ぶことも多い。
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[編集] 照明方式
光源と作業面との関係で、次の3つに分類される。
- 直接照明 : 光源からの直接光で作業面を照らすもの。一番効率が良いが、照度が不均一になりやすく、まぶしさを感じて目が疲れやすい場合がある。
- 間接照明 : 光源からの直接光を使用せず、壁面・天井面などで反射させてから作業面を照らすもの。効率は悪くなるが、照度を均一にしやすく、雰囲気のある照明が可能である。
- 半間接照明 : 直接光と反射光を組み合わせて作業面を照らすもの。
また、作業面と室内の他の部分との関係で次の3つに分類される。
- 全般照明 : 室内全体を均一の照度になるように、一定の間隔で照明器具を配置するもの。
- 局部照明 : 作業に必要な部分のみ照明を行うもの。省エネルギーの効果があるが、照度が不均一になるため目が疲れやすくなる。
- 全般局部併用照明 : 全般照明と局部照明を併用するもの。
[編集] 器具の種類
- 灯籠(とうろう)
- 外部を明るくする為の照明。内部に蝋燭を入れ障子紙で火が消えないように工夫している。蝋燭の光りが障子を通して外を照らす。昔の外灯。材質は木又は石
- 行灯(あんどん)
- 灯明の周囲を枠で囲み、障子紙を貼ったもの。主に室内で使用されるが看板として店の軒先に掛けたものもある。
- 提灯(ちょうちん)
- 竹ひごを筒状に組みその周囲に障子紙を張ったもの中に蝋燭が入っている。蝋燭の明かりが障子を通し外を照らす。夜にこれを持ちながら歩くと道中の明かり取りになる。家の前にかけておくと外灯にもなる。また使用しない時は上下から折り畳む事が出来る。周りに障子紙が貼られているので風で火が消えることはほとんどない。また上下に穴が空いて空気が通るため酸素不足で火が消えることもない。昔の懐中電灯で、現在実用として使われることはほとんどない。発展形として龕灯(木などで作られ背後に握りの付いた桶状の胴部を持ち、中の蝋燭立が常に正立する様仕組まれた、云わばサーチライト)がある。
- ペンダントライト
- 部屋の天井からぶら下げるタイプの照明。
- ブラケットライト
- 壁面に取り付けるタイプの照明。
- ダウンライト
- 天井へ埋め込んで真下を照らす照明。天井面から壁面を斜めに照らすウォールウォッシャー型のタイプもある。
- シーリングライト
- 天井面に直接付けるタイプの照明。
- スポットライト
- 一部分を集中して照らす照明。
- サーチライト
- 特定の物を追いかけながら集中して照らす照明。
- 舞台用照明
- レーザー
- 発振源を高速で動かして、スクリーンやスモーク中にパターンを描く。
- 懐中電灯
- など
[編集] 器具の設置場所
- 家庭用室内照明
- 浴室用照明
- 湯気にさらされても大丈夫なように防湿設計になっている。
- 外部用照明
- 雨に濡れても大丈夫なように防雨設計になっている。庭園灯や外灯など。
- 店舗用照明
- 店舗の空間を演出する器具の意匠や配光になっている。
- 工場用照明
- 高天井やランプ交換しにくい天井などに取りつける照明で、ランニングコストを重視し演色性は重視されない事が多い。ランプは寿命の長い高圧放電灯を使うことが多い。
- 道路用照明
- 車道や歩道を明るくするための照明。ランニングコスト重視で演色性はあまり重視されない。意匠は環境にマッチしたものを使うことが多い。ランプは寿命の長い高圧放電灯を使うことが多い。
- 舞台用照明
- 舞台などで使用する照明でホリゾントライトライトなどカラーフィルムを使用した特殊器具などがある。
- スポーツ施設用照明
- あらゆる球技場で使用される屋外照明。意匠は施設にマッチしたものを使うことが多い。ランプは寿命の長い高輝度放電灯を使うことが多く演色性もある程度考慮される。競技中まぶしくなりにくいよう配慮してある物が多い。
- など
[編集] 特殊用途の一般的呼称
- 作業照明
- ムード照明
- 防犯照明
- 景観照明
[編集] 場所による分類
- 屋内照明
- 屋外照明
- 水中照明
[編集] 歴史
- 石器時代
- たき火などで夜行性の肉食獣等の外敵から身を守った。
- 中世
- かがり火、松明、ろうそくや灯明(行灯など)による照明が主流。提灯 (ちょうちん)。
- 近代化時代
- ランプ(鯨油・石油)、ガス灯などに移行。
- 1870年代以降
- 電気が利用できるようになり電気利用光源が使用されている。
- アーク灯: 初期に利用されていたが寿命が短く1880年代以降は使用されなくなった。
- 白熱電球(白熱灯): 1878年に実用化され、それ以降使用されている。
- 蛍光灯: 1938年に実用化された。はじめは、高価だったため軍用のみに使用された。1960年代以降は一般家庭でも使用されるようになった。
[編集] 照明機器メーカー
- 東芝ライテック・・・テレビスタジオや舞台照明機器の販売。旧アールディエス株式会社が営業権を譲渡。
- アリ(ARRI)・・・主に映画の照明で使われる米国メーカー。
- ストランドライティング・・・パルサーという商品名でテレビロケでよく使われるイタリアメーカー。