石敢當
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石敢當(いしがんどう、いしがんとう)は主に沖縄県でよく見かける、石碑や石標の名称。石敢当、泰山石敢當、石敢東、石散當、石散堂と書かれたものもある。沖縄本島を中心に、周辺諸島に数多く点在しているが、本州では少ない。また、薩南諸島・奄美群島を含め、鹿児島県にもかなり存在し、こちらでは「せっかんとう」とよばれることが多い。
沖縄では、市中を徘徊する魔物「マジムン」はまっすぐ直進する性質を持つため、T字路や三叉路にぶつかると向かいの家に入ってきてしまうと信じられている。そのためそれを避けるために、あらかじめ魔物が入ってきてしまいそうなところに、表面に「石敢當」と漢字で書かれた石碑を建てたり、石版を壁面に貼り付けることで魔よけとする。また、コンクリートの壁面に直接ペンキ等で「石敢當」の文字を書き込んだ例も見られる。
これは中国伝来の風習で、福建省が発祥とされている。似たような魔よけは中国のみならず、台湾・シンガポール等の一部の地域にも見ることができる。「石敢當」の名前そのものの由来は後漢代の武将の名前とも名力士の名前ともされるほか、石の持つ呪力と関わる石神信仰に由来するとの説もあり定かではない。ただし、沖縄では未だに根強く続く風習で、当地ではT字路や三叉路が多いことから、現在でも沖縄の各地で新しく作られた大小様々の石敢當を見ることができる。また、近年はシーサー同様に土産物品としても作られている。