祁門
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祁門 は、日本では「キーマン」「キームン」「キーモン」などとよばれる、安徽省祁門県附近でつくられる紅茶。
揉捻(もみ)の強い茶葉・蘭や薔薇と称される強い香りが特徴。味は渋みが少なくあっさりとしているが、それは苦み成分のタンニンが少ないためである。
発祥は19世紀後半に安徽省出身の余干臣が福建省の「武夷茶」を真似てつくられたものとされているが、実際は「祁門工夫」「工夫紅茶」と称されるほど手のこんだ製造法によるもので、たとえば武夷茶は単に太陽で乾かせるのに対し、祁門紅茶は炭火を使い乾燥させている。1915年にパナマで開催された世界食品展で金賞を受賞ののち「世界の三大紅茶」(ダージリン・ウバ・祁門紅茶)と称されるようになるが、同時に複雑な製法を簡略化させた香りの悪い粗悪紅茶も増えてしまった。祁門のことをスモーキーフレーバーなどと形容されてしまうことが多いのは、この粗悪品の流通の弊害である。
なお、イギリスの高級紅茶ブレンダーであるトワイニング社はキーマン茶を主体にしたブレンド茶をプリンス・オブ・ウェールズという製品名にて販売している。