ダージリン・ティー
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ダージリン(Darjeeling)はインド北東部西ベンガル州北部のダージリン地方で生産される紅茶の総称である。時に「紅茶のシャンパン」とも呼ばれ、セイロンのウバ、中国のキーマンと並び世界の三大紅茶と称される。
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[編集] 特徴
水色が明るく、紅茶の中でも特に香りを重視される紅茶である。香りを楽しむためストレートティーで飲まれることが多い。ダージリンが強い香りを持つのは、寒暖の差の激しい標高の高い山地で生産されているためである。高級なダージリンにはマスカテルフレーバー(マスカットフレーバー)と呼ばれる特徴的な強い甘い香りがあり、この香りの良し悪しが茶葉の価値を決めていると言っても過言ではない。また、比較的強い渋みを持っていることも特徴に挙げられるが、この渋みは決してマイナスではなく、深みのある味を与える好ましいものである。
ダージリン紅茶(特にファーストフラッシュやセカンドフラッシュ)を淹れる際は、短時間でかなり強い渋みや苦味が出る事が多く、茶の抽出は基本的に短めで終わらせるのが良いとされる(必ずしもこの通りでは無い)。
紅茶は一般に茶葉を完全に酸化発酵させたものであるが、ダージリンでは発酵の浅いものが少なくない。特に春摘みのファーストフラッシュではほとんど発酵をさせず、緑茶に近い香りを持つものもある。
現在市場に「ダージリン」の名称で出回っている茶葉は実際の生産量よりかなり多く、ダージリンの名前を騙った偽物やほんの少量しかダージリン紅茶が含まれていない劣悪品の類が出回っていると思われる。
[編集] 等級
これらの表示はあくまでも茶葉の外見上の分類であり,香りや味のランクを表すものではない。また,客観的に評価されたものではなく,茶園が自らつけたものである。
- FBOP(フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコー)
- チップを含んだ破砕茶葉。
- FTGFOP(フラワリー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー)
- ゴールドチップを多く含む上級の茶葉。日本の業者は多くの場合このグレードの先頭のFを「ファイン」と表示しているが、インド政府紅茶局によれば先頭の「F」はフラワリーであり、フラワリーティッピーとはゴールドチップスを表す言葉である。フラワリーという言葉が2度登場するが先頭のフラワリーはティッピーを修飾し、後のフラワリーはオレンジぺコーを修飾している。
- STGFOP(シルバー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー)
- シルバーチップを多く含む上級の茶葉。この等級の表記も日本の業者は多くの場合、先頭の「S」をスペシャルと表記しているが、本来は先頭の「S」はシルバーを表している。
- SFTGFOP(シルバー・フラワリー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー)
- シルバーチップ及びゴールドチップを共に多く含む最上級茶葉。同様にこのグレードの先頭の「SF」をスーパー・ファインとかスペシャルファインと表示している業者が多いが、これは厳密には誤りの表記である。
上記の等級表示の後に次のような等級が付く場合がある。
- CH / CHINA
- 中国から移植された純粋な中国種の茶樹から生産された茶葉に付加される。
- CL / CLONAL
- 挿し木から栽培した茶樹を指す。良質な茶葉が生産できる茶樹を効率よく増やせるため、茶園では積極的に挿し木が行われている。挿し木から栽培した良質の茶樹から生産された(すなわち良質な)茶葉という意味合いを含んでいるが、茶葉の質は手入れや天候によっても変わるため、やはりクローナル表記も上記の等級と同様に香りや味を常に保障するものではない。
- MUS / MUSCATEL
- ダージリン紅茶の中でも特にマスカテルフレーバーの強い茶葉に付加される。元々マスカテルフレーバーを有する茶葉がダージリン紅茶全体の生産量に対し極めて少ない上、そのまた一部にしか付加されないためこの茶葉は特に高値で取引される事が多い。
[編集] 収穫期
- ファーストフラッシュ(春摘み)
- ダージリン紅茶のファーストフラッシュは特に日本やドイツなどで人気が高く、若々しい爽やかな香りが特徴。しかしながら「青臭い」や「薄い」などと言われる事も在り、好みが分かれる所である。
- セカンドフラッシュ(夏摘み)
- ダージリン紅茶のクオリティシーズン。一般的にマスカテルフレーバーを有するとされる茶葉は全てこのセカンドフラッシュである。他の収穫期と比べ高品質とされ、高値で取引される。
- オータムナル/オータムフラッシュ(秋摘み)
- 中級品とされ比較的安価で手に入れる事が出来る。香りは少々劣るものの、比較的濃厚で丸みを帯びた味が特徴でミルクティーにも合うとされる。
[編集] ダージリンの茶園
ダージリンには100以上の茶園があり、その約半数が茶葉のオークションに出品している。それぞれの茶園は個性のある茶葉を生産しているが、日本にも茶葉が輸入されている有名な茶園を挙げた。
- オカイティ茶園
- キャッスルトン茶園
- グームティー茶園
- ゴパルダラ茶園
- サングマ茶園
- ジュンパナ茶園
- シングブリ茶園
- スーム茶園
- セリンボン茶園
- タルボ茶園
- チャモン茶園
- ナンワリング茶園
- ノースタクバル茶園
- プッシンビン茶園
- プッタボン茶園
- マーガレッツホープ茶園
- マカイバリ茶園
- リシーハット茶園