祖霊
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祖霊(それい)とは、先祖の霊のことで、特に神道の祭祀で用いられる言葉である。「祖霊」という場合には、死後かなりの時間が立ち、生前の個性を失ったもの、およびその集合体のことを指すことが多い。この観念は縄文時代から続いてきたと考えられ記紀の神話時代も、祖霊としての母を愛しく思うスサノオの嘆きが記されている。
柳田国男によれば、日本の民間信仰では、死んでから一定年数以内の供養の対象となる霊は「死霊」と呼び、祖霊と区別する。死霊は供養を重ねるごとに個性を失い、死後一定年数(50年、33年、30年など地域により異なる)後に行われる「祀り上げ」によって、完全に個性を失って祖霊の一部となるとする。神道の死生観では、人は死後、仏教やキリスト教のような遠い死者の世界に行くのではなく、生者の世界のすぐ近く(山中や海上の他界)にいて、盆や正月に子孫の元に帰ってくると考える。
祖先の霊を祀るために墓所や縁故の場所に小祠を設けたものを霊社、祖先の代々を合せた霊社を祖霊社と言った。その崇祀は子孫に限られ、他者を排する傾向があった。伊勢神宮の古代の私幣禁断には天皇家の祖霊を祀る場所としての排他の論理がある。
祖霊はさらに神に昇化するとする考え方もあり、そのような祖霊は祖神(そじん)や氏神(うじがみ)として氏族や村落の共同体で祀られることになる。
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