秦州くん誘拐殺人事件
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秦州くん誘拐殺人事件は1984年2月13日に広島県福山市で発生した身代金目的の誘拐事件である。なお犯人は当時、社会問題化していたサラ金などから多額の債務を負っており、その事が犯行に及んだ動機である。また被害者を殺害後に身代金を要求する電話をかけており、しかも身代金の一部を授受することに成功しており、そのことが犯人の運命を決定したといえる。
[編集] 事件の概要
商店の経営などによって多額の債務を負っていた犯人の男性(当時44歳)は、度重なる取立てから逃れるために身代金目的の誘拐によって金銭を得ようと、自分が指導している少年野球チームのメンバーである福山市議の長男(9歳)をバレンタインデーのチョコレートを買ってあげると誘い出し誘拐した。1時間後に家に帰りたいと訴えだした児童を郊外の山中で殺害し遺体を遺棄したあと、自宅に身代金を要求する電話をかけ、指定の銀行口座に15万円を振り込ませた。犯人は現金を引き出すことに成功し、その後追加して1000万円を振り込むように電話したが逆探知に成功した警察により緊急逮捕された。
[編集] 事件のその後
児童が山中に遺棄された現場にはその後匿名で観音像が設置された。また児童に対しては知っている大人であっても一緒に出かけるときには親に連絡するように学校で教育されるようになった。一方犯人であるが、信用している児童を騙し誘拐したうえに殺害後に身代金を要求し成功しているなど犯行態度が極めて悪質であるとして1審の広島地方裁判所福山支部は1985年7月17日に死刑を言い渡した。その後、控訴、上告したが1991年6月11日に最高裁で上告が棄却され死刑が確定した。1998年11月19日に広島拘置所において刑が執行された。