空軍力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
空軍力(くうぐんりょく、Airpower)とは通常、航空機を持って制空権を確保することによる政治的影響力の行使と定義される。空軍力を英訳すると、Air powerとなるが、国家の航空能力の総称としてのエアパワーとは別概念である。ちなみに空軍力という概念が注目されはじめたのは、1890年代のことであり、第一次世界大戦以降、列強の政治家や軍人が軍事戦略としての航空技術重視の軍事戦略がとられるようになったとされる。特に西欧列強にとっては第一次世界大戦を契機として世界的に植民地を拡張し、支配圏の拡大していく中で、従来のような軍艦や大砲等によって海上支配圏を維持せんとする大艦巨砲主義は、もはや古い観念となりつつあった。1917年にはイギリスのロンドンが空襲を受けたことで、世界最強の大海軍国として海軍を主力としてきたイギリスは空軍省を設置したことで、その戦力及び戦略体系を革新させていくこととなった。国際情勢にあってやがて核兵器を中心とした大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発が進むと、従来航空機を主力としていた空軍力も核戦略を中心としたものへと転化させていくこととなった。