立法の不作為
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立法の不作為(りっぽうのふさくい)とは、国が法律を制定すべきところをその義務を怠り、そのために国民に損害を与えたことを言う。
[編集] 概要
本来、裁判所の違憲審査は法律に対して行うものであるが、それでは国民は立法されていないものについては、いかなる不合理であれ裁判で何も争えなくなってしまう。そこで、立法の不作為を裁判で争うことができるという見解が現れた。
訴訟は行政訴訟・刑事訴訟で可能であり、在宅投票制度廃止事件までは国家賠償訴訟が一番有用であった。
立法の不作為には2種類ある。
- 「絶対的不作為」…法律がないこと
- 「相対的不作為」…法律があっても内容が不十分であるもの。
社会権に関する立法については広範な立法裁量が認められるため、立法の不作為を訴えることができる可能性はほとんどない。
[編集] 立法の不作為が問われた訴訟
- 在宅投票制度廃止事件(最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決)
- 立法の不作為について原則として国家賠償法第1条第1項の適用を否定した。
- 在外邦人選挙権訴訟(最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決)