純金積立
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純金積立 (じゅんきんつみたて)とは、毎日一定の金額で金地金を積立購入する金融商品の一種。
純金積立と全く同じシステムで、積立対象を白金とした「プラチナ積立」もあり、両方取り扱う会社では「純金・プラチナ積立」と総称している場合もある。
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[編集] 商品の登場
1980年に、大手地金商がそれまで社員向けに行っていた「金定額購入システム」を一般販売したのが始まりとされ、 同年代後半から各社が次々に参入し一気に普及、1991年に統一名称として「純金積立」が採用される。
[編集] 商品の概要
投資家は取扱会社と契約し、指定した金融機関の口座から毎月一定金額の代金を自動引落とし、その代金をドル・コスト平均法で毎営業日に自動的に金を買い付け、その日の金価格が高い時には買付量は少なく、価格が安ければ買付量が多くなる仕組みである。
表向きにはスポット(都度)購入と同じ資金額でより多くの金を買える事になるが、別途買付手数料や年会費などが加算されるため、金価格が大きく下落した際にまとまった量をスポット購入した方が積立(ドル・コスト平均法)の平均価格よりも 割安となる事がある(この点は積立で株式を購入する「株式累積投資」と類似している)。
このため多くの取扱会社では、金価格が高騰した時には買付の中断や売却、下落した時にはスポット購入による買い増しなどを受け付けている。
[編集] 積立方法
個人向けには、毎月の積立金額は3000円以上1000円単位で設定されており、積立投信や株式累積投資よりも割安な金額で積立する事が出来るが、実際には一カ月の営業日数で割った端数の生じる一日当たりの金額では金地金を購入する事が出来ないので、地金での引き出しを要求された際に、取扱会社が保有している金地金を引き渡し 又は 売却して対応する。
投資家が積み立てた金は消費預託か特定保管のどちらかで運用若しくは保管されている。
金価格上昇時には取引会社へ売却して売買差益を得る事もできる。取扱会社の販売店で金地金として引き出す事もでき、金貨や宝飾品などの取扱商品との等価交換も可能である。
[編集] 消費寄託
投資家から売却・地金引出を要求される迄、複数の投資家の積立で買い付けられた地金をまとめて運用する事で、運用益の一部を投資家へボーナスとして積立額に還元されたり、各種手数料が割安に設定されている場合がある。
但し、積立地金分と取扱会社の資産を分ける必要が無いので、純金積立の資産が無関係な分野へプール・運用され、取扱会社が破たんした場合は資産が清算される関係で、積立地金残高そのものが保証されないリスクが有る。
[編集] 特定保管
取扱会社の資産と積立資産を分別管理し、各々が積立て買い付けた地金現物を実際に保管するもので、投資信託の分別管理と同様である。
取扱会社が破綻した場合でも積立残高分の地金には影響が無いが、特定保管分の地金を用いての運用が出来ないため、還元制度を設けないのが殆どである。
[編集] 取扱会社
純金・プラチナ積立を取扱う所は、地金商・鉱産会社(大手では田中貴金属工業・三菱マテリアル・住友金属など)・商社(大手では三菱商事・住友商事・三井物産など)・宝石商と証券会社・銀行/信用金庫などの預金取扱金融機関・商品先物取引などの投資会社(三貴商事など)で、各所によって金・プラチナの投資(売買)レートや手数料などが異なっている。
このうち取扱いを行う証券会社や預金取扱金融機関では、先の商社・宝石商に取次ぎの形で扱う所も多い。 取扱会社によってはオンライントレードや電話で、株式や為替・商品先物取引と同様に、金の売却やスポット買付がリアルタイムで行える所もある。 純金積立を行なう場合には、会社の信用力、年会費、買取価格と売却価格の差額などを比較材料として、選ぶのがよいだろう。