線条体
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脳: 線条体 | ||
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ヒト脳の冠状断面で 大脳基底核を示している。線条体(striatum)、 淡蒼球外節 (GPe)、 視床下核 (STN)、 淡蒼球内節 (GPi)、黒質 (SN)。 | ||
ヒト線条体の模式図。A: 外側からの眺め、B: 内側からの眺め。尾状核と被殻が示されている。 | ||
英語 | striatum | |
ラテン語 | corpus striatum | |
グレイの解剖学 | subject #189 833 | |
上位構造 | 終脳、大脳、大脳基底核 | |
構成要素 | 背側線条体(パッチ、マトリックス)、腹側線条体(側坐核、嗅結節) | |
略号 | Str、CPu | |
NeuroNames | hier-207 | |
MeSH | A08.186.211.730.885.105.487 |
線条体(せんじょうたい striatum)は、終脳の皮質下構造であり、大脳基底核の主要な構成要素のひとつである。線条体は運動機能への関与が最もよく知られているが、意思決定などその他の認知過程にも関わると考えられている。線条体は、新線条体(または背側線条体)と腹側線条体に区分されるが、単に線条体と言った場合には新線条体のことを指す場合が多い。
目次 |
[編集] 新線条体
新線条体(しんせんじょうたい neostriatum)は、背側線条体とも呼ばれ、被殻(ひかく putamen)と尾状核(びじょうかく caudate nucleus)から構成されている(このため両者の総称として新線条体のことを Caudate-Putamen, CPu とも称する)。単に線条体と言った場合に、この新線条体のことを指す場合が多い。これとは別に新線条体(被殻と尾状核)は、パッチ(patch)とマトリックス(matrix)の二領域に分けられ、マトリックスの中にモザイク状のパッチが埋め込まれるという特殊な細胞構築を示す。両者は、辺縁皮質と、大脳新皮質からそれぞれ興奮性入力を受けることが知られている。
[編集] ニューロン
線条体を構成するニューロンの大部分は、投射ニューロンであるGABA作動性の中型有棘細胞であるが、その他のインターニューロンも存在する。新線条体を構成するニュ−ロンについては、主にげっ歯類を用いた研究に基づき次のように分類されている。
[編集] 投射ニューロン
- 中型有棘ニューロン(medium-sized spiny neuron, または medium spiny neuron)
[編集] インターニューロン
- アセチルコリン作動性インターニューロン(cholinergic interneuron)
- アセチルコリン作動性。形態学的には大型無棘ニューロン(large aspiiny neuron)と呼ばれ、電気生理学的にはTAN(tonically active neuron)と呼ばれているものがこれに相当すると考えられている。行動選択において重要な状況、もしくは報酬に関わる事象が発生した時に、このニューロンは一時的に発火を停止する。
- GABA作動性インターニューロン(GABAergic interneuron)
- パルブアルブミン陽性インターニューロン(parvalbumin-positive interneuron)
- 電気生理学的には fast-spiking (FS) ニューロンと呼ばれる。カルシウム結合蛋白質の一種であるパルブアルブミン陽性である。また線条体のニューロンの中で、最もGABAの産生量が多い細胞と考えられている。
- ソマトスタチン作動性インターニューロン(somatostainergic interneuron)
- カルレチニン陽性インターニューロン(calretinin-positive interneuron)
- 電気生理学的には low-thredhold spiking (LTS) ニューロン と呼ばれる。カルシウム結合蛋白質の一種であるカルレチニン陽性である。
- パルブアルブミン陽性インターニューロン(parvalbumin-positive interneuron)
[編集] 入力
- 皮質線条体入力(corticostriatal input)はグルタミン酸作動性であり、運動に関わる新皮質領野などからの入力が多いとされるが、辺縁皮質の他、ほとんどすべての大脳皮質領野からの入力が存在しており、大脳基底核が運動だけに関わっているわけではないという考えの根拠となっている。それぞれの皮質領野からの入力は線条体の内部で特定の領域に軸索を展開するため、線条体内部には領域によってゆるやかな機能分化があるとされる。大脳基底核における機能的平行ループの概念[1]もこれに基づいている。主に大脳皮質の出力層である5層の錐体細胞が、皮質線条体入力を供給している。
- 視床線条体入力(thalamostriatal input)もグルタミン酸作動性であるが、視床核の中でも非特殊核と呼ばれる核からの入力が中心を占める。さらにその中でもCM-PF複合体(centromedian parafascicular nuclear complex)からの入力が主である。
- 黒質線条体入力(nigrostriatal input)は黒質緻密部のA9細胞集団からのドーパミン作動性繊維である。
- そのほかに淡蒼球外節からのGABA作動性入力[2][3]、視床下核からの入力[4]も存在が報告されている。
[編集] 出力
線体の投射ニューロンは中型有棘ニューロン(medium-sized spiny neuron, または medium spiny neuron)であり、大脳基底核の出口に当たる黒質網様部または淡蒼球内節へ直接出力する直接路(direct pathway)ニューロンと、淡蒼球外節に出力するが淡蒼球内節および黒質網様部へは軸索を出さない間接路(indirect pathway)ニューロンに大別される。
これら2種類の投射ニューロンは、より正確には線条体黒質投射ニューロン(striatonigral neuron)と、線条体淡蒼球投射ニューロン(striatopallidal neuron)と呼ぶべきである。なぜならば、直接路に関しては線条体黒質投射とほぼ同義であるが、間接路は多シナプス性の出力路全体をさす用語であり、線条体淡蒼球投射ニューロンはその一部を担っているに過ぎないからである。ラットを用いた研究では中型有棘細胞は線条体のニューロンの実に95%を占め、そのうち線条体黒質投射ニューロンと、線条体淡蒼球投射ニューロンの比はほぼ同数であるという。
- 線条体黒質投射ニューロン
- P物質陽性、ダイノルフィン前駆体陽性、ドーパミンD1受容体陽性、アデノシンA1受容体陽性である。
- 線条体淡蒼球投射ニューロン
- エンケファリン前駆体陽性、ドーパミンD2受容体陽性、アデノシンA2A受容体陽性である。
[編集] 腹側線条体
- 腹側線条体(ふくそくせんじょうたい ventral striatum)は、側坐核(そくざかく accumbens nucleusまたはnucleus accumbens(ラテン語))、嗅結節(きゅうけっせつ olfactory tubercle、または tuberculum olfactorium(ラテン語))などを含む。種々の薬物中毒に関わっているとされる。
- 主に腹側被蓋野からのドーパミン入力を受ける。
[編集] 脚注
- ^ Alexander GE, Crutcher MD, & DeLong MR (1990). "Basal ganglia-thalamocortical circuits: parallel substrates for motor, oculomotor, "prefrontal" and "limbic" functions.". Progress in Brain Research 85: 119-146. PMID 2094891.
- ^ Beckstead RM (1983). "A pallidostriatal projection in the cat and monkey.". Brain Research Bulletin 11 (6): 629-632.. PMID 6661668.
- ^ Staines WA, Atmadja S, & Fibiger HC (1981). "Demonstration of a pallidostriatal pathway by retrograde transport of HRP-labeled lectin.". Brain Research 206 (2): 446-450.. PMID 7214143.
- ^ Kita H & Kitai ST (1987). "Efferent projections of the subthalamic nucleus in the rat: light and electron microscopic analysis with the PHA-L method.". Journal of Comparative Neurology 260 (3): 435-452.. PMID 2439552.
[編集] 関連項目
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