練炭
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練炭・煉炭(れんたん)は、石炭から作られる固体燃料。かっては一般家庭での日常の調理用熱源や掘り炬燵など暖房の熱源に用いられてきたが現在はあまり使用されず、アウトドアレジャーなどでの使用が中心になっている。
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[編集] 概要
粉炭を消石灰やピッチ等で成型した物、家庭用と工業用があり、前者は石炭の中の硫黄を固定化し、SOxの排出を抑制するため、特に石灰を使用する。
家庭用の練炭は専用の「上付けコンロ」に収まる円筒形に成型され、底面から燃焼面へ空気を通す穴が十数個ほど空けられている。工業用は、かつて低質な石炭を効率的に燃焼させるために作られ、蒸気機関車等に用いられた。
レンズ状に成型された小石大の練炭を豆炭といい、七輪やあんかの熱源に用いられる。 かつては、無煙炭などの上質の石炭から作られたが、最近では褐炭から作る技術が発達している。また、石炭への依存度の高い発展途上国では、練炭の製造が酸性雨対策として注目されている。
[編集] 取り扱い
練炭を素手で扱うと手が黒く汚れるため、日常的に練炭を扱う家庭では、「練炭挟み」等の専用の器具を用いて扱う場合が多い。
通常、点火はガスコンロに乗せたり、適当な着火材(木切れ等)を用いる物と、マッチやライター等で簡単に着火できるように、特に酸化剤を着火面に混ぜたものとがある。円筒形の練炭を使う場合は、原則として練炭用の上付けコンロを用い、着火面を上にしてコンロに挿入する。
[編集] 一酸化炭素の発生
特に点火してから赤熱するまでに、臭いと一酸化炭素を発生するので、原則として屋外で着火する必要がある。また、燃焼途中でも酸欠状態となれば、一酸化炭素を多量に発生するので、換気に気を付けなければならない。
韓国ではかつて、固有の床暖房システムであるオンドルの燃料として練炭が使われていたが、床にできたひび割れから一酸化炭素が流入し、就寝中の家族が中毒死する事故が多発した。現在では、石油ボイラーにより暖めた不凍液を、床下のパイプに回すタイプのオンドルが主流である。
[編集] 練炭自殺
2000年代頃より、日本において社会問題化している集団自殺では、多くのケースで練炭の不完全燃焼による一酸化炭素中毒が利用されているため、購入の際には販売店から「使用目的と使用場所」を確認される場合がある。