自動車税
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自動車税(じどうしゃぜい)は、地方税法(昭和25年7月31日法律第226号)に基づき、一定の自動車に対し、その自動車の主たる定置場の所在する道府県において、その所有者に課される税金で、普通税である。
自動車が、ローンにより売買される場合には、債権担保の目的から所有権が売主に留保されることがあるが、この場合には、買主が所有者とみなされて自動車税を納付することとなる。
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[編集] 税率
標準税率は、次の4つの大区分ごとに、自家用、営業用、特殊な用途(8ナンバー)などの用途、さらにはその総排気量、総積載量及び乗車定員等に応じて定められている。 その税率は、営業用(いわゆる緑ナンバー)や(キャンピングカーを除く)8ナンバー車はほとんど非課税といえるだけの低額な税額であるのに対し、自家用(特に白ナンバーの乗用車)はかなり高く、また、総排気量等が増えるほど高くなる傾向がある。(税額の最高は自家用乗用車(6.0リッター超・10%重課)の111,000円/年)
軽乗用車が7,200円であるのに対し、1.0リッター未満の普通車(排気量600ccのスマートなど)は、わずか1年でも29,500円も支払わなければならず、1.0リッター以上1.5リッター以下のコンパクトカーですら34,500円も払わなければならない。低クラスの自家用車がそれほど高い割りに、セルシオやのような高級車クラスになってもそれほど極端に税額が上がるわけではなく高級車には比較的易しい。これは、車体そのものの価格やネームバリューなどではなく、あくまで排気量を基準に課税していることに起因する。 世界的に見ても異常に高い額であり、内外から批判が相次いでいる。
自家用車がこれだけ高額であるのに対し、タクシーやハイヤーとして使われる営業車(緑ナンバー)は同排気量の自家用車と比べ、1年で約4分の1~2分の1以下とかなり優遇されており、上限の6.0リッター超過でさえ1年でたったの40,700円しか課税されず、非課税も同然ということができるため、特にタクシーが事実上の非課税(2.0リッターではたった9,500円/年)で最も優遇されている、という批判もある。
本来的には自家用車の自動車税が高いことではなく、営業の緑ナンバー車や8ナンバー車がほとんど非課税な点にあり、自家用車よりも圧倒的に低い税額で優遇されていることが問題だとする意見も多い。
- 乗用車
- トラック
- バス
- 三輪の小型自動車
税率の上限は、標準税率の1.2倍とされる。
2002年(平成14年)度から、排出ガス及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車はその性能に応じ税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した自動車は税率を重くする税率の特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)が実施されている。
排気量 | 自家用車(白ナンバー) | 営業車(緑ナンバー) |
---|---|---|
1.0リッター未満 | 29,500 | 7,500 |
1.0~1.5リッター | 34,500 | 8,500 |
1.5~2.0リッター | 39,500 | 9,500 |
2.0~2.5リッター | 45,000 | 13,800 |
2.5~3.0リッター | 51,000 | 15,700 |
3.0~3.5リッター | 58,000 | 17,900 |
3.5~4.0リッター | 66,500 | 20,500 |
4.0~4.5リッター | 76,500 | 23,600 |
4.5~6.0リッター | 88,000 | 27,200 |
6.0リッター超 | 110,000 | 40,700 |
[編集] 納期等
賦課期日は4月1日とされ、納期は原則として5月中である。 なお、4月1日後に自動車(新車)を所有することとなった場合には、その所有月の翌月から月割りで自動車税が課せられる。したがって、例えば、9月15日に自動車(新車)を購入すると、10月から3月までの6か月分を納付すればよいこととなる。
逆に、廃車等により納税義務がなくなった場合には、その廃車月まで月割で自動車税が課せられる。
注意したいのが、中古車を購入したり、車を下取りに出す場合である。あくまで4月1日が賦課期日であるので、4月1日以降に中古車を購入する場合には、法的には購入した年の分の自動車税の納税義務は無い。逆に、4月1日以降に車を手放しても、その年の分の自動車税の納税義務は無くならず、廃車されない限り年額全てを納付する必要がある。
通常、こうした法的責任とは別に、売買の際の当事者間の取り決めにより、例えば月割の自動車税額に相当する金銭がやり取りされるが、そうした取り決めが曖昧であったり、一方の当事者が誠実に履行しない場合に、税負担を巡るトラブルに発展するケースが見られる。
また、譲渡した車について運輸支局での登録上の名義が変更されず、手放した翌年以降も自動車税が賦課されるというトラブルも多く、特に個人間での車の譲渡には細心の注意を要する。
なお、平成18年度から、都道府県をまたがる移転についての月割計算が廃止された。すなわち4月1日現在の自動車の登録上の定置場所の存する道府県に年額全額を納付すれば、平成17年度以前のように移転する前の道府県から月割で還付を受け、新たな定置場所の存する道府県に同じく月割で納付するといった必要はなくなった。
これにより、車検更新等に必要な納税証明書は、4月1日現在の自動車の登録上の定置場所の存する道府県の発行するものを使用することとなっているので、紛失等で再発行を求める場合には注意を要する。