船乗りクプクプの冒険
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船乗りクプクプの冒険は、北杜夫が1962年に発表した最初の童話。 「クプクプ」とは、マダガスカルの言葉で、「蝶々」を意味する。彼の船医としての体験をもとにしたと思われる描写が随所に見られる。
嫌々ながら宿題をしていた勉強嫌いの主人公、タロー君がふと手に取ったキタ・モリオ作「船のりクプクプ」という本は、最初の4ページしか書かれていないとんでもないインチキ本だった。 ふとした拍子にこの本の中に吸い込まれてしまったタロー君、主人公のクプクプとして、大男で気は優しくて力持ちのヌボーや意地悪な同僚、パイプ好きの老船長らと一緒に不思議な海を航海しながら、本の続きを書いてもらうために、編集者から追われて逃げ回っている作家、キタ・モリオ氏を追いかけることになる。 不思議な世界の海へ投げ出された彼らの前に次から次へと現れるめちゃくちゃな世界。 読者を笑わせながら、さりげなく文明批判が書かれているなど、児童文学の名作として評価が高い作品である。