親称
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親称(しんしょう)は、砕けた言い方の二人称代名詞。親しい人や同年代の人、子供などに対して用いられる。
日本では、目上の人に二人称代名詞自体の使用を避ける傾向があり、家族であっても両親や年長の兄弟・姉妹対して親称を用いるのは失礼とされているが、欧米では家族や親族には年長・年少にかかわらず親称を用いる。また、多くの場合蔑称としても兼用される。敬称と対照される。日本語の場合、「君」「あんた」「お前」などがこれにあたる。
他の言語でも親称と敬称を区別することがあり、欧米の言語では日本語と違って親称と敬称が一つずつあるというパターンが多い。動詞の人称による活用変化がある場合、ドイツ語の"du"やイタリア語の"tu"のように、親称のみが二人称単数の活用をし、敬称は三人称単数や二人称複数の活用を取ることがある。親称と敬称の使い分けは言語によって多少事情が異なる。日本語の場合曖昧な点もある。
他言語を日本語に訳すとき、便宜上親称を「君」(または「おまえ」)、敬称を「あなた」と訳すのが一般的だが、会話文の中の女性の発話に関しては親称も「あなた」と訳すことが多い。
ウィキペディアの公式メッセージ(例:ウィキペディアはあなたのご支援を必要としています)では二人称単数の敬称を使うことが多い。スペイン語やイタリア語など一部の言語では親称が使用されているが、これは言語習慣上不特定の相手を対象とした書き言葉で親称を比較的多く用いるためである。(es:Wikipedia:¿Tú o usted?を参照されたい)