郷土史
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郷土史(きょうどし 独:Heimartkunde)とは、ある一地方の歴史を調査・研究していく史学観の一つである。日本にも風土記などの地誌資料があったが、あまり着目されていなかった。郷土史という概念は、ドイツのハイマート・クンデの概念が日本に持ち込まれたものである。
[編集] 概要
大正時代から日本各地では盛んになる。戦前は皇国史観の強い影響で、郷土史家と呼ばれるアマチュアの歴史研究家主導により、郷土の忠臣と英雄を顕彰、関連史跡、文書等の保護、研究が活動主流であった。これらの傾向を「史料の選択、批判に厳密性を欠くお国自慢史観」と批判する研究者達は1950年代頃から地方史の用語を用いるようになる。しかし、戦前郷土史を批判するあまり、中央からの視点、価値観で見る傾向が強くなる。これらの動きを「地方蔑視史観」と批判する研究者達は地域史の用語を用い、中央からでも地方からでもなく、その地域のアイデンティティーを研究することを標榜している。
現在、全国各地に「○×郷土史研究会」、「○×地方史研究会」、「○×地域史研究会」と名乗る研究団体が多数存在するが、名称の違いはその会が成立した時期によることが多く、研究内容、目的、手法が違うということはあまりない。また、それらの会の多くは、地方大学の歴史学者が主体となり、その教え子の地元社会科教員、学生、地方公共団体の社会教育担当職員、地方博物館学芸員などが主体となっていることが多い。
また、これらの研究者や研究会が市町村史などの編纂、執筆を行っていることが多い。
[編集] 関連項目
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