社会教育
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社会教育(しゃかいきょういく)とは、社会において行われる教育のことである。
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[編集] 概要
法制度上において、社会教育は、学校教育と家庭教育を除いた教育を指すことが多い。
社会教育法(昭和24年法律第207号)の第2条では、社会教育とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む)をいうとされている。
なお、現在では「社会教育」に換えて「生涯学習」という用語を狭義の同義語として使う場合も多く、近年、行政庁では社会教育を担当する部署名を「生涯学習課」と呼称するケースが増えた。これは社会教育という用語が関係者以外には一般化していないためである。また社会教育法の施行時には想定されていなかった、ボランティア、カルチャーセンター、大学等のオープンカレッジ(公開講座)、放送大学などの様々な「学び」を包括した用語として定着しつつあるためである。
[編集] 社会教育施設
社会教育にかかわる施設には、次のような施設がある。
- 図書館
- 図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設。
- 博物館
- 歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関。
- 「博物館」とつく施設以外でも、次のようなものは、法律上博物館に分類されている。
- 公民館
- 市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする施設。
- 公文書館
- 歴史資料として重要な国又は地方公共団体が保管する公文書その他の記録(現用のものを除く。)を保存し、閲覧に供するとともに、これに関連する調査研究を行うことを目的とする施設。
[編集] 専門的職員
社会教育法では、都道府県および市町村の教育委員会の事務局に社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与えるため、社会教育主事を置くこととしている。また、社会教育主事の職務を助けるための社会教育主事補を置くことができる。
[編集] 社会教育関係団体
社会教育関係団体とは、社会教育法第10条により「法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。」とされている。
文部科学大臣及び教育委員会が、社会教育関係団体の求めに応じて専門的技術的指導又は助言を与えたり、社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行うことができるものとさえている。(同法第11条及び同条第2項)
国及び地方公共団体が社会教育関係団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えることは禁じられているが(同法第12条)、国の外郭団体や特殊法人、独立行政法人の一部、私立学校法に基づき設立された学校法人、及びこの法人により設置された学校(専修学校・各種学校を含む)などが、国と地方公共団体が関与しない形で、PTAなどに前述の行為を行っても違法ではない状態になっている。
[編集] 学校施設の利用
国立学校と公立学校は、学校教育上支障がないと認める限り、学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならないとされる(社会教育法第44条第1項)。ここでいう学校は、小学校や中学校ばかりではなく、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校などの学校教育法第2条第2項に掲げるものすべてであるが、専修学校や、防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安大学校、気象大学校、国立看護大学校などは、学校教育法第1条において定義される学校ではないので対象外である。
[編集] 社会教育法での通信教育
学校教育法上の通信教育を除く通信教育では、学校と財団法人と社団法人が行うもので、社会教育上奨励すべきものについては、文部科学大臣が通信教育の認定を与えることができる。認定されれば、郵便を第4種郵便物として差し出すことができる。