野崎一
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野崎 一(のざき ひとし, 1922年 - )は日本の有機化学者。京都大学名誉教授、工学博士。
[編集] 略歴
- 1943年 京都帝国大学工学部化学科を卒業。
- 京都大学工学部講師、助教授を経て1963年教授に昇任。
- 1985年 同大学名誉教授、岡山理科大学教授。
- 1985-;86年度 有機合成化学協会会長。
- 1993年 岡山理科大特任教授。
- 1996年 退職
1979年 日本化学会賞、1986年 日本学士院賞、紫綬褒章、1992年 勲二等瑞宝章、1993年 有機合成化学特別賞。
[編集] 業績
カルボカチオンを基盤としたテルペン類の合成、カルベノイドを利用した新規反応の開発などに取り組み、戦後復興期にあった日本有機化学界を牽引する業績を挙げた。特に各種金属元素の性質を複合的に利用した新規反応は、当時日本の化学のレベルを世界に印象づけるものとなった。中でも野崎・檜山・岸反応は、穏和な炭素-炭素結合生成反応としてパリトキシンやエンジイン系抗生物質など、複雑な化合物の合成に数多く応用されている。
また達意の文章家としても知られ、「ほしいものだけ作る化学」「有機化学15億秒」など数多くの著書がある。
[編集] 門下生
ノーベル化学賞受賞者の野依良治を筆頭に、数多くの俊英を世に送り出している。東の向山光昭と並ぶ一大門閥を作り出しており、その功績は計り知れない。
山本尚(シカゴ大化学科)、檜山爲次郎(京大・工)、大嶌幸一郎(京大・工)、丸岡啓二(京大・理)、高井和彦(岡山大・工)他。