陰核亀頭
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陰核は女性の外性器の一部で、その先端部を陰核亀頭(いんかくきとう)と言い、先が尖ったような形状をしている。陰核は左右の小陰唇が上部で癒合する所、即ち陰門の上角に位置し、男性の陰茎と相同である。しかし陰茎との最大の相違点は、その大きさもさることながら、陰核亀頭には男性のように外尿道口が開口していない事である。女性の場合外尿道口は、陰核と膣口の中間あたりの膣前庭部に開口する。よって尿道の長さは、男性の方がほぼ陰茎の長さ分だけ長い。
その大きさは、年齢差、個体差、人種差があるが、ほぼ体格に比例するので、一般的には黄色人種より、黒人や白人女性の方が大きい。中には長さ、太さともに1~2cm に至る大きな陰核を持つ女性もいる。また、継続的な男性ホルモンの投与によって、親指大のマイクロペニス状になることもある。
陰核は恥骨に結合した左右の陰核脚によってしっかりと支えられ、普段は亀頭部も陰核包皮によって覆われている。しかし海綿体組織のため、陰茎同様一旦性的興奮による血液流入が起きると勃起し、太く、固くなる。同時に陰核包皮が翻転し陰核亀頭が露出する。
陰核、特にその亀頭部は陰茎亀頭同様神経終末に富み、適度な摩擦刺激により性的な快感を引き起こす。女性の性感帯の中では最も鋭敏な部分と言われている。体積においては男性の陰茎亀頭の何十分の一しかない陰核亀頭は、陰部神経の密度では男性の10倍以上にもなる訳であるから、当然の事ではある。
このようにそれは余りにも性的に鋭敏な部分であるが故に、西洋キリスト教社会(男性支配社会)では、その存在自体が反社会的とみなされ、特にユダヤ教では割礼と称し、陰核の切除まで行ってきた歴史がある。陰核の存在と、性生活におけるその効用が社会的に認知されだしたのは、女性の社会的地位の向上と軌を一にしている。その先駆的役割を果たした医学者が、20世紀初頭に「完全なる結婚」を著したかの有名なテオドール・ファン・デ・フェルデである。