陸稲
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陸稲(りくとう/おかぼ)は、畑で栽培されるイネ(稲)のこと。
水稲に比べ収穫率・食味は落ちる(特に粳米)ものの、水田を作らずに畑に作付けできることから育成が容易であることが特徴。治水の問題で水田が作れない地方、国において栽培されている。日本でも作られていたが治水が進み、品種改良されるにつれてほとんど水稲に取って代わられている。
最大の違いは水稲は苗を植えることにくらべ、種籾を畑に直播すること。水稲の作付けは苗の育成、田植え等の手間が非常にかかるが、陸稲においてはそれらの手間がはぶける、またイモチ病に強いなどの利点がある。ただしそれと同時に畑で作られるため連作が利かず、雑草を抜くのが大変である、(意外にも)水稲以上に乾燥に弱いなどの欠点もある。このほか、特定種類の他作物と同時に作付けした場合、害虫の侵入を防ぐ利点も確認されている。 品種としてはネリカ米、日本では日野市の平山、茨城県のキヨハタモチ、トヨハタモチ、ゆめのはたもちなどが知られる。
かつて陸稲米は、あられ・煎餅の原料に用いられたが、現在では大半が水稲米を用いている。 自衛隊の食事などにも用いられていたことが知られている。生物学研究所の畑でも栽培されており、今上天皇も作付けを行っている。