集団運動
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集団運動(collective motion)とは多数の粒子から出来ている力学系において、粒子間の相互作用によって多数の粒子が互いに関連を持ちながら組織的に行う運動の事である。並進運動や回転運動はその最も簡単な例である。
固体においては、原子の格子振動や強磁性体中のスピン波、電子気体中のプラズマ振動、正常状態の液体ヘリウム3のゼロ音波などその典型例である。これらの例で見られるように、原子の平衡位置からの変位やスピンの配列の乱れ、粒子数密度のゆらぎなど、系の物理量の平衡分布からのゆらぎとそれに伴って発生する相互作用の自己無撞着場による力が復元力となって集団運動が行われる。集団運動を量子化して、前述の各集団運動の量子をそれぞれフォノン、マグノン、プラズモン、ゼロフォノンなどと呼ぶ。
原子核においては、独立粒子運動(殻模型)との関連において、レインウォーター、ボーア及びモッテルソンが原子核の変形と集団運動の概念を導入した(集団運動模型)。例えば、表面振動や核全体の回転がある。一般に有限系として原子核では独立粒子運動と集団運動とは密接不可分に相互を規定し合っていて、原子核の集団運動や集団回転に伴って、独立粒子運動も変化する。 また、核分裂のように集団運動の性質が時間的に変化していく事が起こる(大振幅集団運動)。核子の電荷やスピンの関与する巨大共鳴、対相関による対振動や対回転も、原子核の集団運動の代表例のひとつである。
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