原子核
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原子核(げんしかく、英atomic nucleus)は、単に核(かく、nucleus)ともいい、原子を電子と共に構成している。原子の中心に位置し核子の塊であり、正電荷を帯びている。核子は、通常の水素原子(軽水素)では陽子1個のみ、その他の原子では陽子と中性子から成る。
原子と比べて原子核は非常に小さくその大きさはおよそ 10-15 m = 1 fmである。水素原子以外では、その狭い空間に正電荷をもった陽子が複数存在するため、互いに大きな斥力(電磁気力)を受ける。この斥力に打ち勝って原子核を安定に存在させているのは、中性子の作用である。陽子、中性子の核子間には中間子を媒介した核力が引力として働き、これが電磁気的反発力に打ち勝って原子核を安定化させている。
原子核の質量を半実験的に説明する、ヴァイツゼッカー=ベーテ(Weizsaecker-Bethe)の半実験質量公式(原子核質量公式、他により改良された公式が存在する)がある。
原子核の安定性は、陽子、中性子の数と深く関わっており、特に原子核を安定にさせる数(魔法数)が存在する(液滴モデル、集団運動モデル、など)。ただし、最近の不安定核の研究によって極端に中性子過剰な核などではこれまで知られてきた魔法数の系列が消失することがわかってきた。
全元素中で最も安定な原子核は、鉄56(陽子26個、中性子30個)の原子核である。