風力鉄道に乗って
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『風力鉄道に乗って』(ふうりょくてつどうにのって)は、斉藤洋による児童文学である。挿絵は佐々木マキ。出版元は理論社、初版は1990年である。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
主人公の渉は中学受験を控えた小学生。塾の模擬テストを受けるつもりで、いつもの電車に乗ったつもりだったが、それは見慣れない普段とは全く違う列車だった。
本来停車すべき駅を次々と通過していく列車に、次第に不安を抱く渉。そんな彼に、同じ車両に乗り合わせた中年男性が、この列車は風力鉄道だと教えてくれる。
日本の鉄道には存在しえないはずの風力鉄道。それは日本ではないどこか、不思議な世界を走る列車だった。
[編集] 登場人物
- 渉
主人公の小学6年生。塾の模擬テストを受けに、JR中央線新宿駅から快速列車に乗ろうとしたところ、誤って風力鉄道の列車に乗ってしまう。風力鉄道に乗ってしまった以上すぐには塾のテストに出られないので、覚悟を決め、風力鉄道の旅を楽しむことに。
中学受験を控えているため、生活のいろいろなことを、受験知識や問題になぞらえてしまうくせがある。
- マイケル・フォックスブラザー
渉と同じ車両に乗り合わせていた乗客。一見西洋人のような風体をしているが、日本語をしゃべる。
誤乗した渉に風力鉄道の存在を教えたり、周遊券を買い与えるなど、手助けをした。
- 新三郎
マイケル・フォックスブラザーの弟。風貌はキツネであるが、直立二足歩行であり、手も5本指である。
兄と釣りに行く約束で風力鉄道に乗車する。
[編集] 世界観
主人公の渉が居る世界は、我々読者と同じ現実世界であると考えられる。作中では「こっち側」と「あっち側」という表現がなされているが、渉の視点から見ると、風力鉄道の存在する世界が「あっち側」ということになる。渉は「四次元や異空間」という表現で二つの異なる世界を解釈したが、「あっち側」の人間であるマイケル・フォックスブラザーは否定しなかった。
「あっち側」の世界では内燃機関を発明した人物は存在したが、それは環境破壊につながるとして、使用しないことが決定されたという。故に風力鉄道が存在しているわけである。
また「あっち側」の世界には、哺乳類の風貌をした人物が多く見られる。マイケル・フォックスブラザーなどの、いわゆる人間の姿をした人物も少ないながら存在するようだが、「こっち側」から移住した人々、あるいはその子孫であると考えられる。
「あっち側」の地名はすべて、「こっち側」の日本語をさかさまにした言葉である。
- イロッピダダ湖
- ニダカタゲハ